災害時におけるオーラルケア
口の健康は、身体の健康にも大きな影響を及ぼす。その影響の一つとして、「災害時におけるオーラルケア」について、重要性を多くの方に知っていただくべく、サンスターではさまざまな取り組みを行っています。
災害時のオーラルケアが欠かせない理由
災害時におけるオーラルケアに関する問題
災害がおこると、多くの場合、水が不足しがちになり、どうしてもハミガキなど水を使うオーラルケアがおろそかになってしまいます。
一般成人のうち約8割が歯周病を患っているといわれていますが、その原因となるお口の中の菌はたった一晩歯みがきを怠っただけでも増殖してしまいます。お口の健康は全身の健康とも深い関わりがあることが分かっており、食べ物の入り口となるお口のケアは、災害時にも欠かせないものとなります。
東日本大震災で得られた教訓を今後につなげる
東日本大震災、熊本地震での活動
お口のケア方法ポスター
2011年東日本大震災直後、現地で何が必要なのか、どのような問題が起きているのかを把握するために実際に被災地を訪れ話を聞くと、歯みがきは2日に1回、3日に1回という方が多く、オーラルケアが十分に行われていない現状が見えてきました。
ハブラシなどの物資は十分に行き渡っているものの、口に含んでよい水には限りがあり、水場も遠くおっくうであるといった理由に加え、歯みがきをしなくてもムシ歯になるくらいだろうという認識が原因となっていることがうかがえました。
そこで、水がなくても使用できる液体ハミガキを支援物資として提供し、日本歯科医師会様や社員を始めとする関係者が、各避難所に直接お届けしました。同時にオーラルケアの重要性や水が少ない時のオーラルケアの方法を説明して回り、歯みがきを促すポスターを貼らせていただくなどの啓発活動を行いました。また、多くの方に情報を伝えることが急務と考え、震災後も新聞を発行し続けていた河北新報様にご協力いただき、新聞に避難生活時のオーラルケアの方法を示した記事を掲載しました。
物資は届いていても、ご高齢の方は液体ハミガキになじみがなく、使用方法が分からず使えなかったということがあり、物資を届けるだけでなく、使い方の情報も広く発信していくことの重要さが分かり、防災オーラルケアハンドブックやDVD、ポスター、CMを駆使して継続的に啓発活動を行い、2016年熊本地震の際には、液体ハミガキやハブラシなどを支援物資として届けるとともに、お口のケア方法のポスターも提供しました。この避難所掲示用ポスターはそれ以降、災害時の避難所で活用いただいています。今後も啓発や予防の部分でサポートしていけたらと考えております
防災にオーラルケアを!
被災地だけではない、防災にオーラルケアを!
被災地だけでなく、全国のみなさまに災害時のオーラルケアの大切さを知っていただくために様々な活動をしています。
まずは、災害時のオーラルケアの重要性、災害時のオーラルケア方法、ハミガキを項目に含めた防災品チェックリストなどを掲載した防災ハンドブックを作り、イベントや店頭などで配布を行いました。それから販売店の方にもご協力いただき、サンスターの商品の景品として「オーラルケア用非常持出袋」を付ける取り組みも行いました。袋を広げるとちょうど液体ハミガキとハブラシが数本入るサイズになっており、裏面には液体ハミガキの使い方など災害時のオーラルケアに役立つ情報を記載しました。
日本歯科医師会様を通して全国6万5000軒の歯科医院さんに弊社で制作した防災ポスターをご掲示いただけないかというお願いもさせていただきました。2017年3月には、熊本地震での災害歯科支援・歯科保健啓発活動もふまえた歯科専門家のインタビューをもとにした啓発冊子を作成、歯科関連の学会などで配布、ダウンロード可能なPDFもご用意しています。
また、防災にオーラルケアの活動開始当初より、液体ハミガキを防災用品として備蓄いただくことを推奨していましたが、行政や企業などが備蓄用品として求める保存期間は5年であることが多く、通常有効期間3年の液体ハミガキを防災備蓄品としていただくには大きな壁がありました。検討を重ねた結果、液体ハミガキ「ガム・デンタルリンス」をアルミ袋で密閉することで5年間の保存を可能にした防災備蓄用の「長期保存用ガム・デンタルリンス」を開発、より一層防災にオーラルケアを促進しています。
(防災ハンドブック、防災ポスター、災害時のお口のケア方法紹介ポスター、啓発冊子 ダウンロードはこちらから)