ハブラシの毛先
サンスターは1953年からハブラシの販売に取り組み、その後、1959年にハブラシの製造を開始しました。以来ハブラシを筆頭に、歯間清掃具、口腔清掃具をあわせ少なくとも600種類以上もの商品開発を行っています。特にハブラシは毛先のバリエーションが豊富で、特殊な毛先を次々に生み出してきました。 その歴史をご紹介します。
はじまりは毛先を丸く加工する技術から
1950年代に、ハンドルの部分に合成樹脂、毛の部分には合成繊維が使われるようになり、そこから本格的にハブラシの製造がはじまっていきます。しかし、当時のハブラシは単にハンドルに毛を植えただけのもの。毛先がそろっていないので、とにかくみがきにくい。
そこで、まずは毛先を平に切りそろえるという技術が生まれます。ただ、切りっぱなしだと毛先が角張った状態となり、みがいたときにチクチクしてハグキが痛いという問題が。それを解決するために、角張った毛先をグラインダー(やすり)で削って丸くする
「先丸加工」が誕生しました。これがハブラシの毛先を加工する基本の技術となっていきました。
先丸加工
歯周病対策から生まれたG・U・Mシリーズ
G・U・Mのハブラシの毛先は現在、お口の状態に合わせて選べる3種類をラインナップしています。毛先を細くするテーパード加工を施した『先細毛シリーズ』、テーパード加工よりも毛先を細く加工するウルトラテーパード加工の『超先細毛シリーズ』、そして1本の毛の毛先が3本に分かれるハグキケア毛を使用した『ハグキケア毛シリーズ』。すべてのシリーズで、歯周プラーク(歯垢)をしっかり除去できるよう“毛ゴシ”にこだわっています。その始まりは、先丸加工が一般的に広まった後に着目した、一歩進んだ「テーパード加工」技術でした。
テーパード加工
ガム・デンタルブラシ 先細毛シリーズ
歯周病は、歯と歯ぐきの境目に歯周病菌がたまり、炎症を起こすものです。そこで、サンスターは歯と歯ぐきの境目の汚れを取るための技術を探していました。そこで注目したのが、日本ではまだみられなかった、毛先だけを細くする『テーパード加工』と呼ばれる技術でした。先丸加工の進化系とも言えるこの技術の特長
は、グラインダーを使って、丸い毛先をさらに細く削っていくこと。
これによって、歯と歯ぐきの境目に毛先が入り込み、歯周プラーク(歯垢)を掻き出すことができ
ます。この技術が、「ガム・デンタルブラシ 先細毛シリーズ」に使われています。
進化を続けるG・U・Mのハブラシ
ガム・デンタルブラシ 超先細毛シリーズ
次に挑戦したのが、テーパード加工よりもさらに毛先を細くし、歯ぐきへのあたりをやわらかくすることでした。そうして生まれた『ガム・デンタルブラシ超先細毛シリーズ 』は、少しやわらかめの特殊なポリエステルの毛をヘッド部分に植えた後、物理的にグラインダーで削って、毛先だけをとがらせていきます。そのため、先は細くても根元はしっかりしているので、毛先が広がりにくく、力強く汚れをかき出すことができます。 また、グラインダーで物理的に削るため、表面がデコボコしているので、汚れをかき出しやすいという利点もあります。歯周病を対策するという観点では、歯と歯ぐきの隙間の汚れをしっかりかき出せるハブラシが有効という考えのもとサンスターではグラインダーを採用しています。
ガム歯周プロケア デンタルブラシ ハグキケア毛シリーズ
ハブラシの研究はさらに続きます。歯周病などで歯ぐきが弱っている方は、普通のハブラシでみがくだけで、歯ぐきに痛みを感じることがあります。その痛みがあるために、歯みがきが丁寧にできず、症状が悪化してしまうことも。そこで『ガム歯周プロケア ハグキケア毛シリーズ』は、歯ぐきの状態が弱ってきた方のために開発を行いました。ここで課題になったのは、いかにハブラシの歯周プラーク(歯垢)を除去する力と、毛先の柔らかさを両立するかでした。単純に細い毛を使うと、歯周プラーク(歯垢)はじき出す力が弱かったのです。 そこで、1本の毛の先端を3本の細い毛に特殊加工した毛先を採用しました。これは、PBTという素材で3本のナイロンの毛を包み、先端を化学処理するとPBTの部分が溶けて3本の細いナイロンの毛が突出してくるというものです。先端の細い毛先で歯や歯ぐきへのやさしさを実現しながら、しっかりした毛ゴシで歯周病の原因となる汚れをしっかり除去する仕組みになっています。
G・U・Mデンタルブラシラインナップ
奥歯のみがきやすさに焦点をあてた、Doクリア
G・U・Mに続いて発売したのが、Doクリア。お口の奥はハブラシが届きにくく、みがきにくいため、奥歯は汚れが残りやすくむし歯になりやすい場所です。そこで、奥歯をみがきやすくするというコンセプトのもと、誕生しました。
その特長は、ヘッドの先端の部分に、それ以外の部分よりもたくさんの毛を植毛していること。お口の奥までみがこうとしたときに、細い毛束だと十分な反発力がなくてうまくみがくことができません。
そこで、ハブラシの先端部分に大きな穴を用意し、たくさんの毛を植えれば、奥歯までしっかりみがけるのではないかという考えが生まれました。開発時には、試作品で臨床試験を行い、しっかりと奥歯の汚れを取ることも証明されています。さらに、先端部分の毛のサイドには目で確認できるくらいしっかりと凹凸がついています。このデコボコがあることで、奥歯の汚れやプラーク(歯垢)をしっかりからめ取れるのです。
歯の白さを追求する、Ora2の開発
やさしいフォルムと色合いが美しいOra2 は、20~30代の若い女性をターゲットに開発されたブランド。現在は3種類の毛先と、小さなお口でも操作しやすいコンパクトヘッドに握りやすい丸みハンドルを採用しています。
オーラツーミー ハブラシ ミラクルキャッチ
ミラクルキャッチ毛
まず初めに開発されたのが、『ミラクルキャッチ毛』。先端が細かく割かれた毛で、歯の汚れを絡め取るという発想から生まれました。円柱状の毛の1本1本にレンコンのように縦に4つ穴が空いていて、その毛を鎌のような刃が付いた特殊なグラインダーで高速で引っかくと毛先がこまかく分割されます。この毛先が細部まで届いて汚れを絡め取るのです。開発の初期段階では、日本に毛先を割る機械がなく、日本で毛を植える穴の大きさや間隔などの基本設計を行い、植毛したハブラシを海外のメーカーに送って割ってから送り返してもらい、日本で実際に使って評価するという方法で開発を進めていきました。やっとのことで試作のめどが立ち、日本で生産を開始。こうして生まれたミラクルキャッチ毛は、そのソフトな使用感と汚れを絡め取る効果でまたたくまに人気製品となりました。好評を得たOra2 シリーズは、すぐに新しい毛の開発に乗り出します。
オーラツーミー ハブラシ スパイラルキャッチ
スパイラルキャッチ毛
次に開発したのが『スパイラルキャッチ毛』。毛をねじることで生まれるデコボコでプラーク(歯垢)を除去するという発想から生まれました。従来の毛が円柱状だったのに対して、スパイラルキャッチ毛は四角柱状になった毛を使用しています。角柱をねじることによって、毛の側面にたくさんのエッジが作られます。そのエッジで、汚れをかき取るというイメージです。
オーラツー ハブラシ ステインクリア
そして、女性が気になる、歯の美白やステインの除去にこだわった『ステインクリア毛』の開発にも着手します。
ステインクリア毛は、四角い断面で、中心部と外側の素材が違う構造になっています。中心部は汚れに負けない反発力のある素材で、外側はハミガキに含まれる清掃剤をしっかりつかんで運ぶやわらかいゴムのような素材です。つまり、ハミガキと一緒に使ったときの効果を意識した設計になっており、やわらかい素材の部分がハミガキに含まれる清掃剤をしっかりと捉えてこすることができるので、歯の表面のステインを除去することができるのです。
試作時には、牛の歯に、紅茶やワイン使って着色汚れを作り、ステインクリア毛をヘッドの全面に植えた場合、普通の毛と交互に植えた場合など、どの毛のパターンの組み合わせが1番ステインを除去できるか、清掃剤の効果が引き出せるかということを試しながら、設計を考え完成しました。
オーラツーミーハブラシのライナップ
サンスターでは、いつも消費者のニーズや最新技術、最先端の歯科情報を捉え、ハブラシの開発を続けてきました。目まぐるしく進歩する技術を取り入れ、今後も皆さまにご満足いただけるオーラルケア製品の提供を目指します。