2024年7月21日、三重県の鈴鹿サーキットでFIM*世界耐久選手権"コカコーラ" 鈴鹿8時間耐久ロードレース、通称「鈴鹿8耐」が開催され、サンスター技研株式会社(以下、サンスター)が開発中の環境対応ブレーキパッドを装着したバイクが3位に入賞、環境対応ブレーキディスクと環境対応ブレーキパッドを装着したバイクが8位を獲得しました。
世界のバイクメーカー各社にブレーキディスクやスプロケット(歯車部品)を納入し、レース用部品も手掛けているサンスター。今回の鈴鹿8耐でもサンスター製部品が多くのチームに採用されています。耐久レースの厳しい条件の中での実走行を通じて環境性能技術の開発加速を目的とするスズキ株式会社の「チームスズキCNチャレンジ」チーム(ゼッケン0番)に「環境対応」のブレーキディスクとブレーキパッドを提供したほか、「ヨシムラSERT Motul」チーム(ゼッケン12番)には、通常のレース専用ブレーキディスクとともに、「環境対応」ブレーキパッドが採用されました。レース結果は、ヨシムラSERT Motulが3位入賞、チームスズキCNチャレンジが8位を獲得。炎天下での過酷な8時間耐久レースで、環境への配慮とブレーキング性能の両面で、両チームの好成績を支えました。
鈴鹿8耐スズキブースに協力企業各社の環境対応アイテムを展示
今回、初めて実戦レースに投入されたサンスターの環境対応ブレーキディスクは、ディスク鋼材をステンレスから鉄に変更し製造工程での熱処理を廃止することで製造時のCO2排出量を半減させました。環境対応ブレーキパッドは、配合材料に銅を含まない仕様。粉塵の発生を約15%抑えることで走行時の環境負荷を低減し耐久性も高めています。レース当日、鈴鹿サーキット内イベント広場のスズキブースでトークショーが開催され、燃料、オイル、バッテリー、カウル、ブレーキなどの環境負荷低減アイテムを提供する協力企業6社の代表が登壇し、開発秘話を語りました。レース中の厳しい暑さにもかかわらず、多くの来場者やバイク雑誌やモータースポーツの記者が集まり、環境対応部品についての記事が複数掲載されるなど、注目度の高さが伺えました。
トークショーで説明するサンスター技研・開発担当の品川佳範さん(写真中央)
近年、毎年のように最高気温の記録が塗り替えられるなど地球温暖化が進んでいますが、温暖化防止に向けて企業にも世界が目指す2050年カーボンニュートラル(CO2排出実質ゼロ)実現への対応が求められています。今回の環境対応ブレーキディスクは、部品の材料選定と製造方法の見直しによりエネルギーの使用量を少なくして製造時のCO2排出を削減する取り組みのひとつです。また、地球上の有限な資源を大切に使い、再利用を促進することで地球の持続性を高めるサーキュラーエコノミー(循環型経済)への移行も世界的な重要テーマです。環境対応ブレーキパッドでは、貴重な鉱物資源の一つである銅を配合せず、製品使用時の粉塵発生を低く抑える材料選定、製造方法を採用。これも環境負荷低減を目指した開発成果の一つです。今後も、原材料調達、輸送、製造、製品使用、廃棄など全ての企業活動での環境負荷の把握と削減を進めていきます。
*FIM:国際モーターサイクリズム連盟