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災害時「命を守るオーラルケア」の重要性を日本歯科医師会と啓発。

2024/08/30

7月20日、世界口腔保健学術大会記念 第29回口腔保健シンポジウムがオンラインで開催されました。約1,100名の方にリアルタイムで視聴いただいたこのイベントは、サンスターが協賛しているもの。40年以上にわたり「口腔と全身の健康の関連性」について啓発してきた私たちの取り組みの1つです。毎年、日本歯科医師会とともに一般生活者向けに行い、これまでも歯周病と糖尿病、オーラルフレイル(お口の虚弱化と老化の関連)などの話題を取り上げてきました。今年は「命を守るオーラルケア ~いざという時のために、今、できること~」と題し、災害(=非日常)をテーマに歯科の専門家がお口の健康と全身の健康の関連性についてわかりやすく解説しました。

基調講演は日本歯科大学東京短期大学 学長 小林隆太郎先生による「『口腔健康管理』のチカラ ―生きる 食べる 話すを考える―」。糖尿病、肺炎、アルツハイマー型認知症、循環器病などと口腔の状態の関係についての研究や、オーラルフレイル、誤嚥性肺炎についてご説明いただきました。「『命と向き合い、国民のトータルな健康に心砕く歯科医療』を目指して活動する中で、『歯を大切に』に加え、『命を大切に』という概念がとても重要であることに気づきました。そのためには『食べるちから』を守る必要がある。つまり『口腔健康管理*』が大切。セルフケアとプロフェッショナルケアでお口の健康を、そして命を守りましょう」とお話しいただきました。

*う蝕や歯周病の治療などの「口腔機能管理」、歯石や歯垢除去などの「口腔衛生管理」、歯みがきなどの「口腔ケア」の3つの要素で構成

続いて、特別講演として、医療法人社団関田会ときわ病院 歯科口腔外科部長 足立了平先生より「日常から〝非日常の準備をする〟ことの重要性」についてご講演いただきました。ご自身の阪神淡路大震災の被災体験から災害関連死における誤嚥性肺炎予防啓発の必要性にいち早く気づき、災害時の歯科支援や啓発活動に取り組んでこられました。また近年は災害に強い人材の育成に注力されており、活動は現在も継続されています。「元日に起きた能登半島地震での災害関連死は70人にのぼりました。これは医療などの体制が整っていれば救えた可能性のある命。一人でも多くの人命を救うことが医療に関与するものにとって、最大の使命だと考えています」とお話しいただきました。さらに、口内環境が肺炎に関連しているという概念がなかった1995年の阪神淡路大震災時は誤嚥性肺炎による死亡者は24%だったが、2004年の中越地震の際は、全避難所への組織的な口腔ケアを行った結果、肺炎による死亡は15%にとどまったというお話も。「地震をとめることはできないけれど、『災害』を軽減することはできる。そのためには日常から非日常を意識した生活を心がけることが大切。高齢者にとっては、オーラルケア=命を守るケアなのです」と力強くお話しされました。『非日常に強い体は口から』であり、日常からお口のケアを大切にして備えることが重要だとも。常に非常時への備えを意識して準備することは難しいですが、生活の一部に取り入れるよう、心がけたいものです。

最後のトークセッションでは、足立先生とサンスター財団の歯科衛生士 市川洋子さんに加え、「やってみたくなる防災」をコンセプトに、女性視点を活かした防災啓発に取り組む神戸学院大学のサークル「防災女子」の安福瑞希さん、真田有希さんが登場し、「命を守るお口の健康のために、毎日できる口腔ケアと非日常への備え」と題して非日常のケアを日常の中で実際に試していただく重要性について説明しました。

「日本歯科医師会シンポジウム紹介」リンクから、当日のシンポジウム録画映像がご覧いただけます。ぜひご覧ください。

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