愛情を注いで育てた微生物たちが、工場の排水浄化で活躍。

2024/07/31

サンスター山梨工場(消費財事業)の佐野敏之さん

8月1日は水の日、8月1日~7日は水の週間です。水の使用量が増えるこの時期、水の大切さを知り、節水をこころがけるなど、水への関心と理解を深めたいもの。今月のCLIPはそんな水の循環の取り組みにフォーカスしてみました。

液体ハミガキや洗口液をつくっているサンスター山梨工場。ここでは、その製造工程でたくさんの水を使っています。使用した水(排水)には有機物や固形物が含まれているため、そのままでは河川に戻すことは出来ません。そこで、微生物の力を借りて、有機物や固形物を分解。環境基準を満たしたキレイな水に処理してから河川へ放流しています。
効率的に水をキレイにするためには、微生物が常に機嫌良く、活発に働いてくれる必要があります。微生物を管理している工場排水浄化槽の担当者は、微生物が日々、元気いっぱいに働いてくれるように、ご機嫌伺いをしているわけです。

山梨工場では、分離膜を用いて排水を処理しています。従来よりもコンパクトな設備でよりキレイな水に処理することは出来るメリットがありますが、反面微生物の状態に影響されやすく、安定した排水処理をするためには、日々のコンディション管理が難しくなります。担当者は、毎日排水処理槽のコンディションを確認、微生物たちが最大限その能力を発揮できるよう気配りをしています。

日々、微生物と接していると、微生物の状態(体調)が良くわかるようになります。つねにベストな環境条件に設定できるようになり、微生物の働きもどんどん良くなってきました。「今ここにいる微生物は一年通して育て、やっと環境になじんでくれたものです。微生物と言っても条件が異なればそこで活躍できる種類も違います。そのため、その土地に合った微生物を見つけて育てながら、元気な状態を見極めていきます。一方、排水処理槽の環境も、気候に応じて変化するため、年間を通したデータ収集。最適な状態を維持できる手法を確立することができました。微生物が元気で働けるようになった結果、現在は設計当初の処理能力を100%引き出せるようになりました。今はさらに現状の2倍の処理能力を目指しています。」

排水は微生物の処理工程を経て透明度の高いキレイな水になります。

ペーストハミガキを製造している高槻工場でも、微生物が排水の浄化を行なっています。排水に含まれる活性汚泥の一部は、自然分解しづらい薄い膜に覆われているため、その多くは産業廃棄物の対象になっていました。しかし、その膜を分解する酵素を出す微生物を活用できたことで、排出される汚泥を減らすことができ、効率的に水質を維持。その結果、廃棄物の削減にも繋がりました。

写真左:排出された汚泥、写真右:高槻工場の排水処理場

薬品処理ではなく微生物処理によって浄化された水は、化学物質の放出がないことから自然環境への負担も抑えられます。サンスターでは環境中長期目標の中で水使用量削減についても目標を立て管理しています。

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