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| Interview vol.8 |
内科医 本田 美和子さん (前編) |
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| 本田美和子(ほんだ・みわこ) |
内科医(国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター勤務)1993年筑波大学医学専門学群卒業後、国立東京第二病院(現・国立病院機構東京医療センター)、亀田総合病院、国立国際医療センターに勤める。1998年より米国フィラデルフィア市のトマス・ジェファソン大学にて内科レジデント、ニューヨーク市のコーネル大学病院老年医学科フェローを経て現職。著書に『遥か彼方で働く人よ』、『エイズ感染爆発とSAFE SEXについて話します』(朝日出版社)がある。糸井重里氏主宰の「ほぼ日刊イトイ新聞」に「お医者さんと患者さん。」を連載中。
☆ほぼ日刊イトイ新聞「お医者さんと患者さん。」 (http://www.1101.com/philadelphia/index.html)
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| 本田先生は、国立国際医療センターでHIV/AIDSの診療をされているということですが、最近あまりHIV/AIDSは話題になりませんし、あまり身近でないという印象があります。実際はどうでしょうか? |
| HIV感染症は、毎日いろいろなパートナーと性行為がある、もしくは金銭を介した性交渉をする女性や男性に多い病気だ、というステレオタイプなイメージに反して、そうじゃない方もすごくいらっしゃるんですよ。 |
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| どんな特徴のある病気なんでしょうか? |
| 放っておけば確実に死んでしまう疾患だということが、昔も今も変わらない、この病気の特徴だと思います。しかし、その一方で、早期に発見して適切な治療を行えば、元気な生活をずっとつづけることができるようになりました。そして、もうひとつ、この病気は確実に予防できます。一度感染してしまうと治ることはないので、患者さんにはさまざまな影響が及びます。健康を損なってしまう身体的な影響はもちろんですし、自分が「あのHIVに」感染してしまった、と思い詰める精神的な影響も小さくはありません。さらに周囲に打ち明けることができずに孤立してしまう社会的な影響も多くの方がご経験になるようです。ご本人が病気に関して、たとえば「私は乳がんを克服しました」と、立ち上がって語れるようなタイプの病気ではまだないということを残念に思います。 |
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| やはり特殊な病気なんですね。 |
| 一方で、HIV陽性の方の中で、この病気について自分が役に立つことがあればやりたい、と積極的におっしゃる方が少なからずいるんですね。これは他の病気の患者さんにはない、ひとつの特徴だと思います。私の書いた本(注:『エイズ感染爆発とSAFE SEXについて話します』)に参加してくださった女性の患者さんもそうです。彼女にとっては、自分がHIV陽性であることを明かして、出版社の数名の人と会うというのは、すごく勇気がいると思うんですよね。その勇気を持って会ってくださったことに、本当に感謝しています。HIV感染症というのは患者さん個人の問題にとどまらず、患者さんが存在する社会の問題にもなってきますから、それも大きな要因だと思います。 |
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| 社会の問題と言うのはどういうことですか? |
| HIVのお薬は非常に高価なので、患者さんがちゃんと治療をやろうと思ってくださると、1ヶ月にだいたい20万円ぐらいの治療費がかかるんです。国民保険を持っていらっしゃれば3割負担の6万円、さらに自治体の補助制度を使うと、ごく平均的な収入の20代、30代の女性患者さんで5,000円〜1万円ぐらいの自己負担になります。ですから、感染してしまっている人で、お金がないから病院に行けないと思っている人がもしいたら、素晴らしい制度があってお金の心配はしなくていいから、まず病院に来てください、とお伝えしたいと思います。その一方で、1人の患者さんの治療費が年間240万円だとすると、40年間治療すると約1億円のお金が私たちの社会から使われていかざるを得ない。つまり、HIVに感染していない人が私には関係ない病気だと思っていても、現実問題として、自分たちが払っている保険料と税金がHIVの治療のためにすでに使われているんです。 |
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| 遠いようで、身近な問題なんですね。女性の患者さんもいらっしゃると思うんですが、何か特徴はありますか? |
| 病気としての違いはあまりありませんが、日本の女性は、自ら検査を受けるということがあまりないので、見つかるのがすごく遅いというのが特徴ですね。自分がHIVに感染するリスクなんてほとんどない、と思っていらっしゃるので、ご病気になるとか、妊婦検診とか、ご主人やパートナーの陽性がわかったことがきっかけで受けることが多いんです。だから、閉経してコンドームを使わなくなった50代以降に感染してしまう方も、実は想像以上に多いんですよ。 |
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| それは驚きました。 |
| それから、これは特に女性に強調しておきたいのですが、HIVに感染したからといって、子どもを産むことをあきらめる必要は全然ありません。もちろん、リスクは大きいし、覚悟も必要だと思うんですけれども、お母さんがきっちり治療をして、うまく妊娠をして、上手に分娩をすることができれば、子どもに感染させる可能性は著しく減らすことができるんです。だから、子どもを産む年齢にある陽性者の方には、子どもを持つことをあきらめなくていい、ということを積極的にお伝えするようにしています。 |
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