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「周術期口腔機能管理と口腔細菌の関係」

サンスター株式会社 静岡研究所 所長 
江口 徹 氏

がん治療に限らず、全身麻酔下の外科手術に広がる「術前口腔ケア」

周術期の口腔ケアは術前・術中直後・回復期の3つのステージに分かれています。各ステージで口腔ケアの目的は大きく異なっており、それぞれのケアの内容に合った口腔ケア用品を使用することが大切です。

まず術前の口腔ケアでは、口腔内の細菌コントロールを目的に歯科医師あるいは歯科衛生士が「専門的口腔ケア」を実施します。スケーラーなど専用の器具を用いて歯石を除去(スケーリング)したあと、歯面を研磨してプラークの付着を防ぐPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)の実施です。専門的口腔ケアによって、口腔内細菌の量と質が改善され、健常な細菌構成に近づきます。また、細菌の質を改善することで、術後の誤嚥性肺炎の発症予防にも寄与することから、術前の専門的口腔ケアは、がん治療に限らず全身麻酔下での外科手術などの患者にも導入されつつあります。専門的口腔ケアを受けたあと、手術直前までの間は、改善状態を維持する目的で、患者自身が自宅で口腔ケアを継続します。歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシのほか、殺菌剤入りのペーストやジェル、一歯みがき用の歯ブラシなどを使って、普段よりも丁寧にブラッシングすることが重要になります。

図1:周術期の状態別口腔ケアの概要

劇的に変化する術中の口腔内環境とそれに応じた口腔ケアの内容

術前の専門的口腔ケアとセルフケアで口腔内細菌を健康な状態に整えたあと、がんの治療が始まります。抗がん剤や放射線療法、外科手術の影響で口腔合併症が生じるため、術中直後の口腔状態は術前から劇的に悪化します。このステージの口腔ケアは、口腔粘膜炎による痛みや唾液減少による乾燥の緩和など、口腔合併症を増悪させないための細菌管理が重要となります。しかし、口腔粘膜炎や口腔乾燥が生じたお口の中はデリケートな状態にあるため、術前と同じ方法での口腔ケアは刺激や痛みが強く、充分な細菌管理は望めません。この状況を少しでも改善するため、サンスターは患者のニーズが高い、①低刺激、②口腔内の保湿、③清涼感の上位3要素を満たす製品開発を、静岡県立静岡がんセンター、静岡県歯科医師会とで進めました。開発の過程では前静岡がんセンター歯科口腔外科部長の故・大田洋二郎先生の長年のご経験を最大限盛り込んだことで、粘膜や歯肉に優しい口腔ケア用品をご提供できたと感じています。

そして治療が終わったあとの回復期口腔ケアでは、唾液減少で生じる広範囲なう蝕予防や口腔感染症などの予防を目的に、術前・術中直後に用いたケア用品を、回復期の状態に合わせて選択、使用いただけます。

2014年の診療報酬改定では周術期口腔機能管理の保険点数が加算されました。厚生労働省も口腔ケアによる合併症の抑制を重視しています。私どもサンスターも、がん患者のQOL向上と医科歯科連携、高品質な医療提供のお手伝いができればと考えています。

図2:トラブル対応をどこから進めるか…