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vol.1 がん治療と口腔ケア

2.病気に立ち向かえるのは、健康な口

これまであまり重大な問題としてとりあげられなかったと思いますが、口の健康というのは、病気に立ち向かう気力にも大きく関係しています。口は食べ物を取るところ。そう、栄養を摂取するもっとも最初の入り口。生きることの原点がここにあるといっても大げさではありません。

健康なときは気がつきませんが、がん治療を始めると、患者さんにとって食べることは一大イベントとなります。がん治療がうまくいって、いざ口から食事をしようと思っても、歯や入れ歯の調子が悪くて食べられないということになってしまったらどうでしょう。これではせっかくうまくがん治療が成功したといっても、なかなか退院することはできません。ちゃんと必要な量の食事をとることができてはじめてがん治療が成功したと言えるのです。

また口の健康というのは、他人に任せてえられるものではなく、自分で歯磨きやうがいをする等、セルフケアで健康を維持できるということも大変重要なことです。がんの治療のほとんどの部分が医師や看護師さんまかせになるのは仕方ありません。自分の身体のことでありながら、自分で治療のためにできることは意外に少ないです。

しかし、これまでお話してきた口の健康を維持していく取り組みは、ある程度、自分自身でコントロールができます。がんの治療中は、患者さん自身が、歯を磨いたり、歯茎をマッサージしたりする、日常ふつうにおこなってきたケアを継続してほしいのです。それががん治療の口のトラブルを予防したり、軽減したりすることに直結します。しかもがんの患者さんの「自分で病気を治したい」「自分で口のトラブルを少なくすませたい」という病気に立ち向かう前向きな気持ちを、自然にはぐくむことができるのです。

こうした口腔のケアをおこなうことで、全身によい影響が認められるのは、がんだけではありません。最新の研究報告では、糖尿病や心臓病などでも証明されてきています。また高齢者の認知症もそうです。中度の認知症の症状が、口内を清潔に保つことで、改善したという報告もあります。また高齢者でも義歯など使ってしっかり噛んで食べることが、脳に刺激になり認知症になりにくくするという研究者もいます。