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製品開発ストーリー ハブラシの毛先

日々進化を続ける!「ハブラシの毛先」開発ストーリー

奥歯の磨きやすさに焦点をあてた、Doクリア

先端2倍植毛
サイド凹凸毛

G・U・Mシリーズに続いて、1995年に発売されたブランドがDo(ドゥー)クリアだ。デコボコしている上にハブラシが届きにくく、みがきにくい奥歯は、汚れが残りやすく、ムシ歯の原因にもなりやすい。そこで、奥歯をみがきやすくするというコンセプトのもと、誕生したブランドである。

「奥歯の奥までちゃんとみがきたいというニーズに応えるため、Doクリアは毛の植え方に特徴を持たせました。ヘッドの先端の部分の毛をそれ以外の穴よりも大きな穴に植毛してあることです。奥までみがこうとしたときに、細い毛束だと十分な反発力がなくてうまくみがくことができません。そこで、先端部分に大きな穴でたくさんの毛を植えれば、奥歯までしっかりみがけるという考えが生まれました。開発時には、試作品で臨床試験を行い、しっかりと奥歯の汚れを取ることも証明されています。臨床試験では先端2倍植毛の3つの穴があるもの(現在のモデルは先端に4つの穴がある)で行いましたが、同時にもっと大きい穴で1個のものの効果も確認したくて試作し、臨床試験を行ったのです。現行モデルでは、先端部分の毛のサイドには目で確認できるくらいしっかりと凹凸がついています。このデコボコが奥歯の汚れやプラーク(歯垢)をしっかりからめ取ってくれるというわけです」。

歯の白さを追求する、Ora2の開発

やさしいフォルムと色合いが美しいOra2は、20~30代の若い女性をターゲットに開発されたブランドだ。パッケージのデザインでは清潔感が、機能面では歯の表面の汚れを効果的に落とすことが追求された。鶴川は、このOra2の開発の中心にいた。

ミラクルキャッチ毛

「Ora2というブランドのコンセプトが決まり、早速毛先の開発に取りかかりました。歯の汚れを絡め取るという訴求から生まれたのが、ミラクルキャッチ毛です。円柱状の毛の1本1本にレンコンのように縦に4つ穴が空いていて、その毛を鎌のような刃が付いた特殊なグラインダーで高速で引っかくと毛先がこまかく分割されます。この毛先が細部まで届いて汚れを絡め取るので、この名前が付けられました」。

「毛先を割る技術には苦労しました。開発の初期段階では、日本に毛先を割る機械がなかったんです。そこで、日本で毛を植える穴の大きさや間隔などの基本設計を行い、植毛したハブラシを海外のメーカーに送って割ってから送り返してもらい、日本で実際に使って評価するという方法で開発を進めていきました。送り返されてきたハブラシで磨いてみると、毛がゴワゴワ、まるで布で歯を磨いているような感覚。これはダメだ…と、穴の大きさや植える間隔、毛を割る高さなどを設計し直したものをまた海外に送って、という繰り返しでした」。

「やっとのことで試作のめどが立ち、日本で生産を開始するため毛先を割る機械を工場に導入したのですが、今度は毛先が全く割れないのです。何回も工場に足を運んで設備部門・生産技術部門と共に機械の調整を行うのですが、機械が空回りする音が響くばかり。何度かトライする内に、グラインダーの回転数を上げることでようやく毛先がうまく均一に割れるようになってきました。初回の生産時には、もう気が気ではなくて泊まり込みで立ち会って、正しい規格にできているか品質のチェックを行ったことが今でも思い出に残っています」。

こうして生まれたミラクルキャッチ毛は、そのソフトな使用感と汚れを絡め取る効果でまたたくまに人気製品となった。好評を得たOra2シリーズは、すぐに新しい毛の開発に乗り出す。

スパイラルキャッチ毛

「Ora2には、スパイラルキャッチ毛という横にねじったようなものもあります。これは、毛をねじることで生まれるデコボコで歯垢(しこう)をこそぎとるという発想から生まれました。従来の毛が円柱状だったのに対して、スパイラルキャッチ毛は四角柱状になった毛を使用しています。角柱をねじることによって、毛の側面にたくさんのエッジが作られます。そのエッジで、汚れをかき取るというイメージです」。

そして、このOra2ブランドには「ステインクリア」ハブラシがある。女性が気になる、歯の美白やステインの除去にこだわった人気シリーズである。

「ステインクリア毛は、四角い断面で、中心部と外側の素材が違う構造になっています。
中心部は汚れに負けない反発力のある素材で、外側はハミガキに含まれる清掃剤をしっかりつかんで運ぶやわらかいゴムのような素材です。つまり、ハミガキと一緒に使ったときの効果を意識した設計になっており、やわらかい素材の部分がハミガキに含まれる清掃剤をしっかりと捉えてこすることができるので、歯の表面を白くすることができるというわけです」。

「試作時には、牛の歯に、紅茶やワイン使って着色汚れを作り、ステインクリア毛をヘッドの全面に植えた場合、普通の毛と交互に植えた場合など、どの毛のパターンの組み合わせが1番白くなるか、清掃剤の効果が引き出せるかということを試しながら、設計を考えていきました」。

「このステインクリアのように、何がやりたいかということが明確であればあるほど、製品のアイデアは明確になってきます。最終的に、その製品がお客様にどのようなベネフィットをご提供できるか、ということを意識して、それをかなえるための素材や設計や技術を考えていくのです。そのために、新しい素材が出たらすぐにチェックしたり、チームメンバー間、部門間で情報を共有したり、日頃からアンテナを高くしておくことが重要と考えます」。

進化を続けるハブラシの毛先

お客様のニーズに応えるために、こうして進化を続けてきたサンスターのハブラシ。今後の展望について、鶴川はこう語る。

「これから、消費者のニーズがどんどん変わっていくと思います。例えば、歯の寿命の観点でいうと、80歳まで20本歯を残そうという8020(ハチマルニーマル) 運動が推進されおり、実際に80歳で残っている歯の数は増えてきています。ということは、口に残っている歯が増えてきているわけですから、口の中の状態も、今まであまり目立たなかったことが、 新たな重大なトラブルとして見えてくる気がします。そのような変化の中で、起こりそうな問題を早く予測し捉えて、それを解決する商品をできるだけはやくご提供していきたいですね。

他にも、様々なお客様がお口のことでどのようなことを望んでいるのかきちんと捉えて、研究開発・技術開発を行っていくことも重要だと思っています。ハブラシ1つ 取っても、毛の選択、毛の切り方、植え方、毛の穴の大きさ、穴の配置とか、そういったことを考え、試作評価を行うことで、お客様に喜んでいただける効果のある製品を生み出せると確信しています。最先端の技術をご紹介してきましたが、また新しい製造技術が生まれたり、もしかしたら全く違う形に進化したりする可能性もあるかもしれません。お客様のために、違う分野の技術もどんどん取り入れて、絶えず新しいチャレンジをしていきたいと思っています」。

今後どんな新しい加工技術が生まれてくるのか、次の一手に注目したい。