最近こんなことはありませんか?(動画を再生)
これらはオーラルフレイルの症状です

老化のサインとして注目される“オーラルフレイル”

食事でよく食べこぼすようになった、固いものが噛めなくなり、むせることも増えた。
さらに滑舌も悪くなったようだ・・。ささいな口のトラブルですが、こうした状態が続くようであれば、それは歯や口の働きの軽微な衰え、つまり“オーラルフレイル”の可能性があります。

これらオーラルフレイルの症状は“老化のはじまりを示すサイン“として注目されるようになってきました。健康と要介護の間には、筋力や心身の活力が低下する“フレイル”と呼ばれる中間的な段階があるとされています。その手前にある前フレイル期にオーラルフレイルの症状は現れます。フレイルから続く要介護状態に陥ることなく、健やかで自立した暮らしを長く保つためには、この段階で早く気づき、予防や改善に努力することが重要であるということがわかってきました。

オーラルフレイルとは、歯や口の働きの「虚弱化」という意味

出典:東京大学高齢社会総合研究機構 教授 飯島勝矢

問題は口腔機能こうくうきのうの低下です!

もっと「歯や口の働き」に注目しましょう!

歯や口にはそれぞれ本来持っている多くの「働き」がありますが、それは専門的には「口腔機能」(こうくうきのう)と呼ばれています。それは大きく分けると、「食べること」(噛む、すりつぶす、飲み込む、味わう)と、「話すこと」(発音、会話、歌う)ですが、「感情表現」(笑う、怒る)や「呼吸」なども含みます。
例えば、加齢により噛む力が低下すると、食事がのどに詰まりやすくなり、またもし飲み込む力が衰えるとお茶や汁ものでむせやすくなります。唾液の分泌が低下すると、虫歯、歯周病が進行し、口臭もひどくなります。図のように悪循環になりやすいと考えられています。オーラルフレイルはこうした口腔機能の軽微な衰えを示していますが、筋肉や心身の活力低下(フレイル)の初期症状とも考えられ、老化の最初のサインでもあるのです。

出典:東京都健康長寿医療センター歯科口腔外科部長 平野浩彦

食べるための機能が正常かどうかを調べる口の動き

「パ」
「タ」
「カ」

食べるための機能が正常かどうかは、パ、タ、カの発声で簡単にチェックすることができます。
「パ」…食べ物を口からこぼさない唇の働き
「タ」…上あごにしっかりくっつく舌の働き(食べ物を押しつぶす・飲み込む)
「カ」…誤嚥せずに食べ物を食道へと送る筋肉の働きがあるかどうか
連続して10秒間に何回発声できるかを調べますが、1秒間あたり6回以上発声できれば健全です。
これらは「滑舌」が低下していないかを調べるのにも有効です。

健やかな口腔機能は健康寿命を延ばす!

出典:フレイル予防ハンドブック(監修 東京大学高齢社会総合研究機構教授 飯島勝矢)より

要介護にならないために、すこやかな「口腔機能」を維持する!

口腔機能が衰えると、話すことが減るだけでなく、栄養状態の悪化で筋肉がやせ、体力が低下して外に出かけることも少なくなってしまいます。つまり歯や口の働きは、「社会とつながる」ための重要な役割を担っていることがわかります。
高齢者が「社会とのつながり」を失うと、まるでドミノ倒しのように心身の活力が弱まり、要介護になっていくことが明らかになってきました(大規模高齢者虚弱予防研究・柏スタディー2015)。こうした事実から、食卓を囲み食事すること、仕事でも趣味でもボランティアでも、楽しく会話したりからだを動かすこと、つまり「口腔機能」に関心を持って、「社会とのつながり」も維持すること、そうしたことが要介護になりにくい体となり、健康寿命を延ばす“コツ”と考えられるようになってきました。
長い人生をすこやかに生き抜くためには、“オーラルフレイル”への取り組みが必要です。

はじめましょう!オーラルフレイルへの対処

“オーラルフレイル”を予防・改善するには

~歯と口を清潔に保ち、機能も維持すること~

オーラルフレイルへの対策として 「セルフケア」でできることは大きく二つあります。
まずは、常に口の中を清潔に保つこと、そしてもうひとつは、口腔機能,、つまり歯と口の働きの維持・改善に努めることです。

❶口の中が清潔かどうかに関心を持つようにしましょう。

歯を失うとオーラルフレイルになりやすくなります。虫歯や歯周病から歯を守るには、口の中をいつも清潔に保つことが最も大切です。歯周プラーク(歯垢)の除去には、適切なブラッシング(歯とハグキの間を磨く)とともに、「歯間ブラシ」などの活用がお勧めです。また「デンタルリンス(洗口液)」や「液体歯磨き」なども上手に使って、日々の清掃に楽しくバリエーションをつけて取り組みましょう。
※歯石の除去などはセルフケアで対処することはできません。歯や口を清潔に保つには、かかりつけの歯科医を持って、定期的に清掃と検診を受けるようにしてください。

❷口腔機能を意識し、維持・改善に努めましょう。

噛む、飲み込む、発声する、笑うといった動作は、唇や舌、口周辺の多くの筋肉がスムーズに働く必要があります。「口と舌の体操」や「唾液腺マッサージ」などを行って、筋肉や唾液腺がしっかり働く健やかな口腔機能を維持しましょう。本を声に出して読む、あるいはカラオケで元気に歌うなども有効な口の体操になると考えられています。

口の開閉と舌のストレッチ

①「ア」の発音のようにゆっく
 り大きく口を開けます。

②しっかり口を閉じて、口の両
 端に力を入れながら、舌を上
 あごに押し付けるようにして
 奥歯を噛みしめます。

舌のストレッチ

①口を大きく開けて、舌をでき
 るだけ出します。

②上唇を舌先で触ります。

③左右の口角(こうかく)を
 舌先で触ります。

口輪筋こうりんきんの運動

①頬をふくらませて、舌を上あ
 ごに押し付けて、口から息が
 漏れないようにこらえます。

②息を吸うように口をすぼめます。

*“口輪筋”は口の周りを取り囲んで
 いる筋肉で、口を開けたり閉じた
 りする時にはたらきます。

「ラ」の発音は舌全体を上下にしっかり動かします。「パ」「タ」「カ」に「ラ」を加え、
●「パパパ、タタタ、カカカ、ラララ」そして
●「パタカラ、パタカラ、パタカラ・・」と続けて発音しましょう。できるだけ大きな声で、はっきりと声を出すことで食べるための機能のトレーニングができます。

唾液腺をやさしく刺激することで、唾液がたくさん出るようになり、食べ物が口の中でまとまり、飲み込みやすくなります。

耳下腺じかせん

耳の前、上の奥歯のあたり

顎下腺がっかせん

あごの骨の内側のやわらかい部分

舌下腺ぜっかせん

あごの先の内側舌の付け根

オーラルフレイルを予防し、口腔機能を健やかに保つことは、あなたの健康寿命を延ばすことにつながります。
日頃から歯と口の健康にもっと気を配り、いつまでも元気に過ごしましょう。