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文化の発展のために

第68回日書展 サンスター国際賞を授与

第68回日書展写真

サンスターは日本の書道界で最も権威のある日本書道美術院が主催する「日書展(にっしょてん)」へ“サンスター国際賞”を授与しており、本年の受賞作品が発表されました。

この国際賞は故カルロ・アルハデフ氏が日本オリベッティ社長の時代に「文字の文化である書」を国際的な価値を高める目的で1968年に日本書道美術院に設立したもの。同社の日本撤退後も後継会社がこの事業を引き継いでいましたが、2009年からサンスターが故アルハデフ氏の遺志として支援することになりました。日本書道美術院には漢字部、かな部、新書芸部、篆刻(てんこく)部の4部門があり、国際賞の対象者は各部門第一科の審査員書家となっています。

2014年1月4日(土)に第68回日書展の選考会が行われ、6回目となる「サンスター国際賞」が選考され、かな部の慶徳紀子(けいとく・のりこ 本名・堀井紀子)さんが受賞されました。作品は、「紫式部 ~限りとて別るゝ道の悲しきにいかまほしきは命なりけり~」『源氏物語』内の歌55首をまとめた大作です。

サンスター国際賞受賞 慶徳紀子先生インタビュー

今回の題材に『源氏物語』を選ばれたのはどのような理由でしょうか?

サンスター国際賞の前に立つ慶徳先生の写真

『源氏物語』は日本を代表する文学。『源氏物語』に多大な影響を与えた先行の『伊勢物語』とともに、作品として手がけてきた流れで、今は『源氏物語』を自身のテーマとして2年前から書きはじめて、様々な展覧会で発表しています。

作品はどのように考えて進められるのですか?

はじめに大きなイメージを作り、綿密に装丁の図面を作成してから書き始めます。今回は上下の変化を考えながら書き分けました。書は平面ですが、それをいかに立体的に見せるかを書の流れや動き、気持ちの高揚までも、波のように、瞬時に考えて書き進めていきます。
今回の作品の装丁は、書作品を少し浮かせて、その厚みの側面に朱を乗せているのですが、それがほのかな灯りのような効果がでています。いわば、下地が着物と見立てて、書は帯のようにしつらえて、朱は帯締めのような構成にしてみました。源氏の“もののあはれ”“はかなさ”を試みました。

拡大画像

“漢字”から今は“かな”を書かれておられるのはどうしてでしょうか?

はじめは“漢字”も書いておりましたが、次第に“かな”に魅せられていきました。
漢字は中国で生まれ、日本に伝わって、“かな”が生みだされました。この日本人の美意識の素晴らしさが、平安時代から残っているなんて、素敵だと思いませんか?
長い歴史を経て、この美しい文字文化を今に受け継ぎ伝える責務があるという思いもあります。でもそのままではなく、今を生きる“かな”として、この伝統美を伝えていきたいと思っています。

落款の写真

書道をはじめられたきっかけは?

幼少からお習字に親しまれている方が多いと思いますが、私は大学に進学してから書をはじめました。幸いなことに、当時の日本の書道界の第一人者として高名な熊谷恒子先生に師事できたことが書への道に導かれた大きな理由です。熊谷先生に出会ったお陰で今の私があると思っています。

母校の大学でも教鞭を取られていたとお聞きしました

母校だけは、引き受けておりました。多くの若い方々がこれから書に関わってくださるようにと思います。日本の書道史に残る素晴らしい先生と出会って、学んだことを、私なりに、次の世代の生徒さんへとつないでいくことができれば、これほど嬉しいことはないと思っています。

先生にとって書の魅力とは?

これも熊谷先生から教えられたことですが、先生はいつも“自分の書を書くように、、、”と仰っていました。師の書を真似るだけではなく、自分を見つめて、それを深めていくことによって“自分の書”に出逢う。常に今“自分の書”を書けているのだろうか?と問いかけ続けてきました。積み上げては壊して、また積み上げて壊す。そうした、プロセスを通して、自分自身の書を生涯探求していくことこそが書の魅力だと感じています。

最後に今後の抱負をお聞かせください。

先ほどの話とも重なりますが、今の“自分の書”とは何かをいつも自分に問いかけ続けること。今取り組んでいる『源氏物語』も、また年月を重ねたのちは違うものを書いていると思いますが、これから先も、そのときの本当の“自分の書”に向き合い“慶徳紀子の書”を模索し続けていきたいと思います。

慶徳紀子先生は、ご自身が主宰される書道会「朱香会」の会名は熊谷先生よりいただき、31歳の若さで立ち上げられ、現在はご子息の堀井寛史さんと運営されています。
「朱香会」のHPはこちら→http://shukou-kai.com/#