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文化の発展のために

第67回日書展 サンスター国際賞を授与

サンスターは、日本の書道界で最も権威のある日本書道美術院が主催する「日書展(にっしょてん)」へ「サンスター国際賞」を授与しており、本年の受賞作品が発表されました。

1月4日(金)に第67回日書展の選考会が行われ、5回目となる「サンスター国際賞」が選考され、かな部の荻原玉汀(おぎはら・ぎょくてい)さんが受賞されました。作品は、松尾芭蕉の「野ざらし紀行」から、伊賀上野での紀行文「こゝに草履をときかしこに杖を捨てゝ旅寝ながらに年の暮れ」、俳句「年くれぬ笠きて草履はきながら」。一年の旅を振り返り、旅のままに年の暮れを迎えた心境が詠まれたものです。

サンスター国際賞受賞 荻原玉汀先生インタビュー

今回の題材に松尾芭蕉の作品を選ばれた理由は?

これまで、新古今和歌集ばかり書いていたのですが、昨年から芭蕉の作品を多く書いています。墨田区駒形にある桃青寺が菩提寺で、その桃青寺に芭蕉が数年にわたり逗留していたことがあり、以前から芭蕉句を書きたいと思っていました。

題材を選ばれるのは、歌の内容からでしょうか?

歌の意味がとても良くても、全体として作品に仕上げにくいものもあります。文字で表現するには難しいものもあるので、そういう歌は避けます。選んでいくうちに構成が浮かんできた歌を書きます。今回の題材もそれらの視点から選びました。ただ、年の暮れの紀行文なので、新春の日書展には、少し不向きかな、とも思っていました。

荻原先生はかな作品を書かれていますが、かなの魅力は?

かなの魅力は線ですね。一言に「線」と言っても、細い線、圧をかけた線、強弱のリズムある線など様々ありますが、師である小山やす子先生が書かれる線は、よどみがなく流れる筆致、ゆったりと懐が深く、字形の変化の運筆に魅力があります。少しでも近づけたらと日々思っています。

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かなの線はとても奥深いものですね。

書いているうちに思いがけなくいい線が書けることがあります。そういう線が書けた時は、とてもうれしくなり書を続けていこうと思うのです。

今回の作品を書かれた際に苦心した点は?

字の大小、空間、リズムなどをイメージして構成しますが、前半の詞(ことば)書きの部分と句との調和をどう表現したらよいかに苦心しました。

そのポイントは?

紀行文の詞書き部分は気持ちを抑えて、後半の俳句部分は感情を盛り上げて表現したというところでしょうか。同じリズムでもだめですし、余白や字の大きさが平面的にならないようメリハリをつけました。

書道を始めたきっかけは?

小学4年生の時、近所の書道教室に行くようになったのが最初です。戦争が終わって復興の最中に書に出会いました。振り返りますと、その出会いから今まで、一度も書を止めようと思ったことがありません。好きだったんでしょうね。私は、個性を発揮して表現するタイプではないので、作品は、見てくださった方が、癒される、ほっとされるような書を書けたらいいなと思っています。

先生にとって書の魅力は?

一つの作品を書く際に、まだ満足できない、もう少し書きたいと思って書いてもそれ以上の作品ができるとは限りません。やはり、体調がよくて精神的にも落ち着いた時に作品ができることがありますが、提出日が近づき、逃げ場がなくなった時に集中することで、一応作品ができたりもします。それでも、満足に書けた作品などなく、「これでいい」と思うことがない事に魅力を感じます。また、古筆を見るのもとても勉強になりますし、深い魅力があります。

20代から書道教室で教えておられるそうですね。

はい。今は子どもを中心に40人くらいの生徒さんがいて、子どもたちからたくさんのパワーをもらっています。書は楽しいものだと思って欲しいのですが、やればできるのにやらない子には、ハッパをかけたりもします。子ども達一人ひとりの良さを伸ばしていってあげたいと思っています。

最後に今後の抱負をお聞かせください。

書くことが楽しい、好きだという思いだけでここまで継続してきました。 12 年前に乳癌を発症しましたが、転移することなく、書を続けることができました。それを支えてくれた家族、恩師、友人、周囲の全ての方々に感謝し、自分に見合った書を書いていきたいと思っています。これからも健康である限り、書を続けていくことが抱負でもあり願いです。

荻原先生ありがとうございました。
受賞、おめでとうございました。