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文化の発展のために

第70回日書展 サンスター国際賞を授与

第69回日書展写真

サンスターは日本の書道界で最も権威のある日本書道美術院が主催する「日書展(にっしょてん)」へ“サンスター国際賞”を授与しており、本年の受賞作品が発表されました。
この賞は「文字の文化である書」を国際的な価値として高める目的で1968年に設立されたもので、2009年からサンスターが支援しています。
日本書道美術院には漢字部、かな部、新書芸部、篆刻(てんこく)部の4部門があり、国際賞の対象者は各部門第一科の審査員書家となっています。
2016年1月4日(月)に第70回日書展の選考会が行われ、8回目となる「サンスター国際賞」が選考され、かな部の名和玉芳(なわ・ぎょくほう)さんが受賞されました。
作品は、古今和歌集 巻第二「春歌下」です。
日本書道美術院の常務理事の松井玉箏先生は「書き出しから一気に引込まれる駘蕩(たいとう=(春の)のどかな様子)とした平安絵巻。徐々に舞い上がる花弁の如くに余韻を響かせて収斂させる筆力は揺るぎがなく見事」と評されました。

春霞 たなびく山の 桜ばな うつろいはむとや 色かはりゆく
待てといふに 散らでしとまる ものならば 何を桜に 思ひまさまし
残りなく 散るぞめでたき 桜花 ありて 世の中 はての 憂ければ

春霞のたなびく山に咲きほこる桜の花は、そろそろ散る時に向かおうというのか、花の色が変わってゆく。
待てと命ずれば、素直に散らないでいてくれるものなら、桜より以上に愛すべきものがあるだろうか。いやいや、ありはしない。
盛りがすむと、未練げもなく散ってしまう、それが桜のいいところだ。世の中の常として、いつまでも永らえていると、碌なことにはならないものだから。

サンスター国際賞受賞 名和玉芳先生インタビュー

第69回日書展写真

今回の題材に『古今和歌集』を選ばれたのはどのような理由でしょうか?

師匠の小山やす子先生もよくお書きになるということもあって、今まで一番多く書いてきたものが古今和歌集でした。桜が大好きで、今回は「春歌」を選びました。この歌も何度も書いてきた歌のひとつです。

作品はどのように進められるのですか?

書き始めは静かに、しんになるところは行間も多めに取って、最後はリズムに変化をつけながら静かに閉じるといった、いわゆる散らし書きのスタイルで書いています。 大きな文字には墨は多くつけ過ぎない、墨色の濃度によってどのように間を取るのか、渇筆のバランス、また紙によっても墨色の見え方も違いますから、どのような筆を、どのような墨を選ぶか、全体の景色を考えながら書いていきます。

作品を書かれた際に苦心した点などはありますか?

今回の紙はいただいたものなのですが、試し書きをしてみると、とても書きやすかったので出展作品に使うことに決めました。原稿はあらかじめつくらず、本番の用紙を使って書いて全体のバランスを考えていきました。初めて書く大きさの紙だったことに加えて、いただいた紙は数に限りがありますから、その中で完成させなくてはならないプレッシャーはありました。けれど、今回は何とか書けたということでしょうか…(笑)

第70回日書展の会場にて大勢の観客が見守る中、席上揮毫をされる名和さん

今回の作品を表現される上で留意されたポイントはありますか?

はじめにも触れましたが、書きはじめは、静かにはじまって、盛り上がる山があり…という景色が好きで、これがある意味私のスタイルでもあります。ある日、家でとてもリラックスして半分夢うつつという状態でクラシック音楽を聴いているときに、スッと インスピレーションが降りてきたのが、このスタイルに結びついたきっかけだったように思います。

名和先生が書に出逢ったきっかけは?

私たちの若い頃は、一通りお茶やお花といったお稽古事をすることが当たり前の時代だったのですが、これまで書道を続けてこられたということは、やはり好きだったからなんでしょうね。高校生のときに正統派の大石隆子先生に最初に教えていただいたことが、書道の魅力を知るきっかけだったかもしれません。その後、知人のご紹介で幸いなことに、小山やす子先生に教えていただくことになりました。素晴らしい先生方とのご縁が、このように書道の道を歩む礎となっていると思います。

最後に今後の抱負をお聞かせください。

そもそも私は書の専門家になるつもりなどなくて、ただただ好きで書くことを続けてきたものですから…。今後の抱負といいますか、いつまで続けてゆけるか分かりませんが、書ける限りは、ただ精一杯作品に向き合ってゆきたいと思っています。