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食品に応用できるユニークな新規プロテオグリカン複合体
弘前大学とサンスター株式会社が共同開発

2015年3月10日
サンスター株式会社

国立大学法人 弘前大学(青森県弘前市、以下:弘前大学)とサンスター株式会社(本社:大阪府高槻市、代表取締役社長 吉岡貴司、以下:サンスター)は、2007年8月に締結した「研究連携の推進に係る協定」に基づき、鮭鼻軟骨から抽出したプロテオグリカンの生理活性に着目した共同研究に取り組みました。このたび、新規プロテオグリカン複合体(ヒアルロン酸及びコラーゲンとの複合体)の抽出技術を開発し、有用性評価において、人での経口摂取による日焼け予防効果を確認致しました。


研究の背景

プロテオグリカンの構造プロテオグリカンの構造

プロテオグリカンとは、タンパク質を軸にコンドロイチン硫酸などの糖鎖が複数結合した特徴のある構造を有した糖タンパク質です。皮膚や軟骨において、ヒアルロン酸やコラーゲンと共に巨大なネットワークを形成し、組織の柔軟性や水分保持に寄与しています。2000年に、弘前大学医学部高垣教授により、鮭鼻軟骨の酢酸抽出によるプロテオグリカン抽出技術を開発したことを機に、プロテオグリカンは様々な生理活性があることが見出されてきています。2007年から弘前大学とサンスターは、プロテオグリカンの新たな生理活性の探索と生理活性をより高める新たな抽出技術開発のため、共同研究を開始しました。


研究内容

新規プロテオグリカン複合体新規プロテオグリカン複合体
新規プロテオグリカン複合体の構造イメージ図新規プロテオグリカン複合体の構造イメージ図

① 新規プロテオグリカン複合体の開発

鮭鼻軟骨から、酸やアルカリさらには有機溶媒を一切使わず、熱水のみでプロテオグリカンを生体内と類似した構造のヒアルロン酸及びコラーゲンとの複合体の形で抽出する新技術(熱水抽出法)を開発しました。また、熱水のみの抽出により、精製工程も簡略化でき、低コスト製造が可能となりました。

この新規プロテオグリカン複合体(ヒアルロン酸及びコラーゲンとの複合体)の開発について、日本応用糖質科学会平成26年度大会(2014年9月 新潟)で発表しました。


② 新規プロテオグリカン複合体の紫外線に対する予防効果

シワやシミなどの皮膚老化は、加齢による老化と共に紫外線による光老化が大きく影響します。新規プロテオグリカン複合体の美容素材としての有用性を確かめるため、皮膚線維芽細胞に対する新規プロテオグリカン複合体の紫外線ダメージからの保護効果を調べました。その結果、新規プロテオグリカン複合体は皮膚線維芽細胞を紫外線から防御する作用が高いことが確認されました。


【紫外線照射によるヒト皮膚線維芽細胞数変化】

紫外線照射によるヒト皮膚線維芽細胞数変化

  1. ヒト皮膚線維芽細胞は紫外線照射によりダメージを受け、細胞数はあきらかに減少しました。
  2. 新規プロテオグリカン複合体をあらかじめ添加することにより、皮膚線維芽細胞は、紫外線を照射しても細胞数の減少はほとんどみられませんでした。

*1 PG-C: 新規プロテオグリカン複合体


【ヒト皮膚線維芽細胞培養写真】

紫外線照射によるヒト皮膚線維芽細胞数変化

<実験方法>
ヒト皮膚線維芽細胞をシャーレ内で培養後、新規プロテオグリカン複合体を添加(50μg/mL)。24時間後、紫外線(UV)を照射し(0.25mW/cm2の照射強度で3分20秒照射)、48時間後に写真を撮影し、細胞数をカウントしました。新規プロテオグリカン複合体添加なしの紫外線照射なしおよび紫外線照射ありと比較を行ないました。
N.S. は、統計学的に差なし。 ** は、比較するデータ同士で差が認められる結果の信頼度が99%より高いことを示しています。

③ 新規プロテオグリカン複合体の人での有用性確認 ~ 日焼け予防効果 ~

健康な成人女性を対象として、新規プロテオグリカン複合体(1日当り400mg)あるいはプラセボのいずれかを8週間連続摂取してもらいました。摂取前、摂取4週間後、摂取8週間後、その後摂取をやめて8週間後(試験開始から16週間後)に、背中に紫外線を照射して人為的に誘導した色素沈着部の皮膚の最小紅斑量(Minimal Erythema Dose, MED)*2、最小黒化量(Minimal Tanning Dose, MTD)*3 を測定し、経口摂取による紫外線防御に対する影響を検証しました。本試験は世界医師会によるヘルシンキ宣言に示された倫理規範、疫学研究に関する倫理指針に従って実施しました。

試験の結果、新規プロテオグリカン複合体を8週間継続摂取することで、紫外線による紅斑と皮膚黒化(色素沈着)が抑制され、特に皮膚黒化は統計学的に有意に抑制されることを確認しました。新規プロテオグリカン複合体は、からだの内面から紫外線に対する防御力を高める新しい美容素材として活用できると考えられます。

この研究成果は、第87回日本生化学会大会(2014年10月 京都)で発表しました。


*2: 照射1日後に境界のはっきりしたかすかな紅斑を起こすのに必要な最小の紫外線量、*3: 照射の7 日後に肉眼で認められる最小の色素沈着を引き起こすのに必要な紫外線量

MTD変化

新規プロテオグリカン複合体の摂取により、日焼け(紅斑及び皮膚黒化)を抑制し、摂取8週間後の非摂取期間においても、8週間の効果の持続がみられました。特に皮膚黒化においては、摂取8週間後及び非摂取8週間後(試験開始から16週間後)において、信頼度が90%以上の差が認められました。


<グラフの説明>
新規プロテオグリカン複合体摂取群(n=8名)、プラセボ摂取群(n=11名)のそれぞれの値は、0週目(摂取前)に対する比率(変化率)で表しました。MED変化(紅斑)は、数値が大きいほど赤くなりにくく、MTD変化(皮膚黒化)は数値が大きいほど黒くなりにくくなります。
* は、比較するデータ同士で差が認められる結果の信頼度が95%より高いことを示し、は、比較するデータ同士で差が認められる結果の信頼度が90%より高いことを示しています。

今後も弘前大学とサンスターは、新規プロテオグリカン複合体を応用した研究成果の実用化推進に取り組んでまいります。


開発者のコメント

  • 国立大学法人弘前大学 特任教授 加藤 陽治
    鮭鼻軟骨は氷頭と呼ばれ、昔から「氷頭なます」として食に供されてきました。この軟骨には、プロテオグリカンがコラーゲンやヒアルロン酸とともに存在します。これまでの酸性抽出法よりも容易に、しかも安価で得られる熱水抽出法で得られるプロテオグリカンは、酸性抽出プロテオグリカンよりも分子量が大きく、ヒアルロン酸やコラーゲンと複合体を形成していることがわかりました。新規プロテオグリカン複合体の経口摂取による日焼け予防効果の研究は、このことをきっかけにサンスター株式会社と共同で行ったものです。新しい視点に基づいた研究開発の成果です。
  • サンスター株式会社 新規素材活用事業開発プロジェクト 主任研究員 後藤 昌史
    現代の高齢化社会において、健康が重要であることは言うまでもありませんが、見た目の若々しさを維持することはQOLの観点で重要であり、身体の内面からの皮膚アンチエイジング技術の開発が待ち望まれています。特に、紫外線による日焼けはシミやシワの一因であり、女性の紫外線から身を守る意識が非常に高まっています。本共同研究において、プロテオグリカンの抽出技術研究と生理活性研究の密な融合により、新規美容素材“プロテオグリカン複合体”を開発することができました。今後新しい食品素材として、紫外線が気になる方、いつまでも若々しい肌であり続けたい方々に貢献していきたいと考えています。

プロファイル

  • 弘前大学:人文学部、教育学部、医学部、理工学部及び農学生命科学部の5学部から成り、幅広く学問領域をカバーしている地方の総合大学としての特徴を最大限に活かし、大学のモットーである「世界に発信し、地域と共に創造する弘前大学」の実現に向け、教育、研究及び地域貢献を展開しています。
    特に、地域貢献においては、地域社会との密接な連携を図ることを目的として、地域の発展への貢献及び産学官の連携強化に取組んでいます。
  • サンスター株式会社:サンスターグループの中核であり、マウス&ボディ、ヘルス&ビューティという2つの事業分野を通じて、常に「人々の健康の増進と生活文化の向上」に貢献する商品やサービスを提供しています。主な製品ブランドは、オーラルケアシリーズ「G・U・M」、「Ora2」、ヘアスプレイ「VO5」、スキンケアシリーズ「EQUITANCE」、健康食品「健康道場」シリーズなど。

参考文献

  • M. Goto, S. Ito, Y. Kato, S. Yamazaki, K. Yamamoto and Y. Katagata: Anti-aging effects of extracts prepared from salmon nasal cartilage in hairless mice. Mol. Med. Rep., 4, 779-784 (2011).
  • M. Goto, S. Yamazaki, Y. Kato, K. Yamamoto and Y. Katagata: Anti-aging effects of high molecular weight proteoglycan from salmon nasal cartilage in hairless mice. Int. J. Mol. Med., 29,761-768 (2012).
  • 『食品ハイドロコロイドの開発と応用Ⅱ』 監修:西成勝好 2015年1月30日 刊行 株式会社シーエムシー出版 発行

本件のお問い合わせ先

国立大学法人弘前大学 研究推進部研究推進課 TEL 0172-39-3911 FAX 0172-39-3919
サンスター株式会社 広報部(東京) TEL 03-5441-1423 FAX 03-5441-8774