ホーム > 企業情報 > プレスリリース > 2013年プレスリリース > スキンケア用途に適した新規タデ藍エキス 弘前大学とサンスター株式会社が共同開発

スキンケア用途に適した新規タデ藍エキス
弘前大学とサンスター株式会社が共同開発

2013年4月22日
国立大学法人弘前大学
サンスター株式会社

国立大学法人弘前大学(青森県弘前市、以下:弘前大学)とサンスター株式会社(本社:大阪府高槻市、代表取締役社長 吉岡貴司、以下:サンスター)は、2007年8月に締結した「研究連携の推進に係る協定」に基づき、2009年6月よりタデ藍の抗真菌活性に着目した共同研究に取り組み、このたび、新規タデ藍エキスを開発、スキンケア用途での有用性を使用試験により確認しました。

研究の背景

タデ藍(Polygonum tinctrium (ポリゴナムチンクトリウム))は、日本における藍染め染料の原料植物としてよく知られていますが、古くから様々な薬効が言い伝えられた民間伝承薬としても用いられました。近年、弘前大学教育学部北原晴男教授を中心とし、染色以外の可能性として、抗真菌性に注目した研究が始まりました。北原晴男教授らは、タデ藍から高い抗真菌性を示す物質「トリプタンスリン」を単離し、これらの研究成果を基に、タデ藍の持つ抗真菌活性を応用した外用剤等の開発を目指して、弘前大学とサンスター株式会社は共同研究を実施しました。

開発の経緯

皮膚トラブルの原因「マラセチア属菌」

マラセチア属菌は、人をはじめとした哺乳類の皮膚表面に広く常在する真菌(カビや酵母などの総称)です。このマラセチア属菌は、通常は皮膚トラブルを引き起こすことはありませんが、過剰に増殖した場合は、皮膚に悪影響を及ぼすことが指摘されています。
一方、サンスターの調査によると、肌に出る赤い湿疹等を気にする女性の中には、生理によるホルモンバランスの変化が原因と自覚している人がいることが報告されており、別の調査結果では、半数程度の女性は、周期的に赤い湿疹が現れると報告されています。
また、25歳以降の女性に見られる赤い湿疹(アクネ菌によらないニキビ様湿疹等)は、マラセチア属菌がその一つの原因ではないかと考えられています。

タデ藍抽出物「トリプタンスリン」に抗真菌作用

<トリプタンスリン>

弘前大学教育学部の北原晴男教授らは、タデ藍の抽出物にマラセチア属菌の一種であるMalassezia furfur(マラセチア フルフル)に対する抗真菌活性を見出し、その活性物質「トリプタンスリン」を単離したことを、2004年の日本薬学会にて報告しました。その報告を受け、弘前大学とサンスターは、タデ藍抽出物のマラセチア属菌に対する抗真菌活性のスキンケアへの応用を目的として研究を行ってきました。

研究内容の詳細

新規タデ藍エキスの開発

マラセチア属菌に対する高い抗真菌活性のある「トリプタンスリン」を多く含み、スキンケア製品に用いることができるタデ藍エキスを得るため、不要な成分を取り除き、純度を高める独自の抽出方法を開発しました。その新規タデ藍エキスがマラセチア属菌に対して高い抗真菌活性を示すことを確認しました。
この研究成果は、日本農芸化学会2012年度京都大会(2012年3月)で発表しました。

新規タデ藍エキスの有用性確認

石けん、ローション、クリームの3品に、新しく開発したタデ藍エキスを配合し、弘前大学にて、20歳から39歳までの77名の女性に対し使用試験を行いました。使用試験は、サンプル使用前4週間及びサンプル使用中4週間に、吹き出物ができた部位数(額、頬、顎、鼻、その他の部位)を自己記録することにより調査しました。その結果、被験者77名のうち生理周期に伴い吹き出物が現れる25歳から39歳の19名の女性において、サンプル使用により生理前1週間の吹き出物が統計的に有意に減少することが確認されました。
一般的に、生理前の黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌される期間には、皮脂の分泌が促進されると言われており、その期間に吹出物ができると感じている女性が多いという報告があります。また、マラセチア属菌は皮脂を栄養源として増殖する真菌であり、吹き出物の原因菌のひとつであるという報告もあることから、マラセチア菌に対して高い抗真菌活性を有する新規タデ藍抽出エキスを用いたスキンケアが、周期的に繰り返す不安定肌に対して有用であると考えられます。

<グラフの説明>
生理周期に伴い吹き出物が現れる25歳から39歳の19名の女性において、吹き出物ができた部位数の平均値をグラフ化。
平均値を棒グラフ(青・橙)にし、データのばらつき度合いを示す標準偏差をグラフ上に黒線で示しています。
P<0.05は、サンプル未使用時と使用時の実験データに差が認められるという結果の信頼度が95%より高いことを示しています。

今後も弘前大学とサンスターは、タデ藍抽出物を応用した研究成果の実用化推進に取り組むとともに、藍の抗真菌性に関する共同研究を一層推進してまいります。

開発者のコメント

国立大学法人弘前大学 特任教授 北原 晴男

洋の東西を問わず、繊維を美しい藍色に染める植物として古くから知られた藍は、同時に様々な薬理効果を持つことから、民間伝承薬としても各地で用いられてきました。弘前大学では、「藍は肌によい」という言い伝えに注目して研究をすすめ、マラセチア属菌(マラセチア フルフル)に対する抗真菌性に高活性な物質を見出しました。今回、スキンケアに応用できる抽出エキスは、この研究を基にサンスター社と共同で開発したもので、先人の知恵を現代に生かす視点に基づいた研究開発の成果です。

サンスター株式会社 新規素材活用事業開発プロジェクトリーダー 山本和司

肌トラブルに悩む女性に対する調査において、周期的に繰り返す吹き出物トラブルへの共感が少なからず見受けられたことが、この研究の重要なきっかけでした。弘前大学とは、栽培から応用、有用性確認までさまざまな専門分野の先生方とチームワークよく連携でき、共同で検討できたことが大きな成果につながったと思います。今後、このエキスを応用し、肌トラブルをもつ多くの方々に貢献していきたいと思います。

プロファイル

弘前大学

人文学部、教育学部、医学部、理工学部及び農学生命科学部の5学部から成り、幅広く学問領域をカバーしている地方の総合大学としての特徴を最大限に活かし、大学のモットーである「世界に発信し、地域と共に創造する弘前大学」の実現に向け、教育、研究及び地域貢献を展開しています。
特に、地域貢献においては、地域社会との密接な連携を図ることを目的として、地域の発展への貢献及び産学官の連携強化に取組んでいます。

サンスター株式会社

サンスターグループの中核であり、マウス&ボディ、ヘルス&ビューティという2つの事業分野を通じて、常に「人々の健康の増進と生活文化の向上」に貢献する商品やサービスを提供しています。主な製品ブランドは、オーラルケアシリーズ「G・U・M」、「オーラ2」、ヘアスプレイ「VO5」、スキンケアシリーズ「EQUITANCE」、健康食品「健康道場」シリーズなど。

参考文献

『日英対訳 津軽の藍』 北原晴男 監修  2012年11月18日 刊行  弘前大学出版会 発行

本件のお問い合せ先

国立大学法人弘前大学 研究推進部研究推進課 TEL 0172-39-3911 FAX 0172-39-3919
サンスター株式会社 広報室(東京) TEL 03-5441-1423 FAX 03-5441-8774