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2008年5月16日 サンスター株式会社
 
6月4日〜10日は〈歯の衛生週間〉
 
 
Mouth & Body−お口と体の不思議な関係− Vol.1
メタボの人はお口の健康にも要注意!肥満と歯周病の関係
 
   
   今年度から始まった「メタボ健診」により、健康への関心はますます高まっています。メタボリックシンドロームの予防がこれほどまでに叫ばれているのは、心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気につながる動脈硬化の主要因にあげられているからです。一方、歯周病の重大性は歯の喪失だけではありません。近年の研究により、お口の病気である歯周病が、糖尿病、心筋梗塞、誤嚥性肺炎、早産・低体重児出産などに影響を及ぼすという多くの報告がなされ、歯周病と全身の健康の関わりが具体的に示されるようになってきました。
 そして中高年男性の半数が該当する(※)という今注目のメタボリックシンドロームとも、興味深い関連が見られます。肥満と歯周病の関わりが最近の研究によりわかってきたのです。
 このニュースレターでは、肥満と歯周病の関係について、最新の研究報告も交えながら、詳しく見ていきます。
※メタボリックシンドローム予備群を含む。平成18年国民健康・栄養調査、厚生労働省
 
 
 
―目次―
1.歯周病とは
歯周病菌が原因となって歯周組織に炎症がおきる
歯周病の実態
2.メタボリックシンドロームとは
メタボリックシンドロームを放置すると動脈硬化に
内臓脂肪型肥満では生理活性物質の分泌が異常になる
3.メタボリックシンドローム・肥満と歯周病
共通するのは‘炎症物質’の分泌の増加
‘炎症物質’の歯周病への影響
肥満だと歯周病になりやすい?
メタボの人は歯周病にも要注意!
 
   
 
1.歯周病とは
歯周病菌が原因となって歯周組織に炎症がおきる
 「歯周病」という言葉自体は広く知られるようになりましたが、この病気についての理解は十分とは言えません。ハブラシの届きにくい歯とハグキの境目は、細菌の塊である歯垢(プラーク)が付きやすい場所です。その歯垢(プラーク)に棲みついた歯周病菌が原因となって歯を支える組織(歯周組織)に炎症を起こした状態が歯周病です。たった5o程度の深さの炎症が28本の歯にあると、手のひらサイズの炎症に相当するといいます。これと同じ面積の炎症が胃や肝臓にあったら命取りになるというサイズです。進行すると、ハグキ(歯肉)や歯根膜、歯槽骨などの歯周組織が破壊され、最後には歯が抜け落ちてしまいます。痛みなどの自覚症状が出にくいため、気づいたときには手遅れになってしまうことも少なくないのが、「サイレント・ディジーズ(気づかぬうちに進行する病気)」とも言われる歯周病の特徴であり怖さでもあります。

歯周病の実態
 歯周病は、虫歯と並んで歯を失う理由の2大原因にあげられています。歯周病の実態をデータで見ると、平成17年に実施された歯科疾患実態調査では、15歳未満で約4割の人が、40〜60歳代では80%以上の人が歯周病にかかっています。(グラフ)にもかかわらず、歯周病を自覚している人は、罹患率の高い年代においてもわずか2〜3割しかいません。(グラフ)また、50歳以上になると、歯を失う理由の半分以上が歯周病になってきます。(グラフ
 
■グラフ@歯周病にかかっている割合(年齢階級別%) ■グラフA歯周病を自覚している割合
  (年代別%)
 
(出典:平成17年歯科疾患実態調査、厚生労働省)
※高齢者において歯周病にかかっている人の割合が減ってきているのは、調査対象となる歯がない人が増えるためです。
  (出典:サンスター、平成19年)
■グラフB歯周病で歯を失う割合(年齢階級別%)    
  (出典:永久歯の抜歯原因調査、
財団法人8020推進財団、平成17年)
2.メタボリックシンドロームとは
メタボリックシンドロームを放置すると動脈硬化に
 血清脂質、血糖値、血圧が高いと、それぞれ高脂血症、糖尿病、高血圧症と診断されます。 これらの生活習慣病の発症・悪化には、内臓のまわりに蓄積した内臓脂肪が強く影響しています。内臓脂肪型肥満の場合、これらの生活習慣病になる可能性が高くなるのです。
 内臓脂肪型肥満に加えて、病気とは診断されない“予備群”程度であっても、血清脂質異常、高血糖、高血圧のうち2つ以上を併発すると、動脈硬化が急速に進むことがわかっています。 このような状態を、メタボリックシンドロームと呼んでいます。

内臓脂肪型肥満では生理活性物質の分泌が異常になる
 脂肪細胞は、従来、単なる‘脂肪の貯蔵庫’と考えられてきましたが、近年の研究から、様々なサイトカインやホルモン(生理活性物質)を分泌することがわかってきました。そして内臓のまわりの脂肪細胞が脂肪を過剰にためすぎると、つまり内臓脂肪型肥満になると、これらのサイトカインやホルモンの分泌に異常がおこり、これに対する連鎖反応で代謝バランスが乱れて、体が本来もっているシステムが正常に機能しなくなってくるのです。
 例えば、炎症性サイトカインTNF-αの脂肪細胞からの分泌が増加すると、血糖値をコントロールするインスリンが効きにくい体の状態になることが報告されています。インスリンが効かないと、血糖値が上昇して糖尿病になります。糖尿病が進行すると、動脈硬化などの血管の障害がおこります。大血管に障害がおこれば脳卒中や心筋梗塞などにつながりますし、微小血管ならば失明、神経障害から手足の壊疽、腎不全から人工透析などにつながります。
■図1 メタボリックシンドローム 体におこる変化
3.メタボリックシンドローム・肥満と歯周病
共通するのは‘炎症物質’の分泌の増加
 内臓脂肪型肥満になると、様々なサイトカインやホルモン(生理活性物質)の分泌に異常がおこると前段で述べましたが、その一つが、TNF-αなどの炎症性サイトカイン(‘炎症物質’)の分泌の増加です。
 そしてその‘炎症物質’は、内臓脂肪型肥満の脂肪細胞でも、歯周病をおこした歯周組織の細胞でも分泌が増加する、共通の因子なのです。

‘炎症物質’の歯周病への影響
 そもそも‘炎症物質’は体に必要な物質です。歯周病の場合、体の免疫システムが歯周病菌を排除しようとする時に分泌されます。しかし、歯周病が放置された状態が続くと、‘炎症物質’の分泌が増加した状態が長期にわたり、歯周組織の代謝のバランスが崩れ、歯を支える骨の破壊などにつながるのです。
 内臓脂肪型肥満の脂肪細胞から分泌された‘炎症物質’が血管を通ってお口に到達すると、歯周病を進行させると考えられます。また体の中に‘炎症物質’が多い状態が続くことにより、体の免疫システムのバランスも崩れますので、歯周病菌に対する抵抗力が低下し、歯周病にかかりやすくなると考えられます。
■図2 ‘炎症物質’と歯周病の関係
肥満だと歯周病になりやすい?
 実際、脂肪の多い食事で太らせた肥満のマウスを歯周病菌に感染させて歯周病にすると、普通のマウスの場合よりも、歯周病が進行しやすくなり、歯を支える骨の破壊がおよそ40%も多かったことが、昨年報告されています。(ボストン大学歯学部 Salomon Amar博士)これは、肥満によって生来の免疫システムが正常に働かなくなり、歯周病菌をうまく排除できなくなったためだと考えられています。

メタボの人は歯周病にも要注意!
 また、メタボリックシンドロームと歯周病の関係についても報告があります。日本人女性を対象とした調査から、メタボリックシンドローム診断項目であるウエストサイズ、血清脂質異常(低HDL、高中性脂肪)、高血圧、高血糖にあてはまる数が多い程、歯周病のリスクも高くなることが報告されています。(長崎大学大学院 齋藤俊行博士、2007年、グラフ)これによると、全く当てはまる項目がない人に比べて、あてはまる項目が1つだけでも2倍、3つあれば4.1倍も歯周病のリスクが高くなることがわかります。
■グラフC あてはまるメタボ項目数と歯周病リスク
◇ ◇ ◇
 このように、肥満は、生活習慣病のリスクを高めるだけでなく、歯周病の発症や進行促進にも影響を及ぼしています。肥満も歯周病も、痛みなどの異変を自覚していなくても、体やお口の中は健康バランスが崩れて本来の機能が働いていない状態です。しかし、どちらもきちんとケアをすれば予防できるもの。肥満気味で健診結果が気になるという人も、内臓脂肪は皮下脂肪と違って落としやすいので、バランスの良い食事と運動を心がければ効果が現れやすいといいますし、現在のお口の健康状態に自信がないという人も、歯周病の初期段階(歯肉炎)なら簡単な治療で元の健康な状態に戻すことができます。歯の衛生週間を機に、生活習慣も見直して、健康な体とお口を維持しましょう。
 
 
サンスター株式会社 広報室
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