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様々な分野で生き生きと活躍されている女性たち。各分野のプロである彼女たちの目から見た、健康、ライフスタイル、キャリアについて、広報の女性スタッフがお話を伺うインタビューシリーズです。 >> インタビュー一覧
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Interview vol.3 エッセイスト 岸本 葉子さん (後編)
 
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がんになってもバーゲンに行く!
今度はがんと健康のお話を伺いたいんです。私はがんといえばショッキングな告知、というイメージが強かったんです。ところが岸本さんの本では、がんがわかった時に何を具体的にされたかとか、何が悩みどころだったのかということを詳細に書いていらっしゃったので、逆に、軽視するわけではなく、自分にも十分起こりうる身近なものに感じられました。がんになられたことで、今までの健康に対する見方や世界観が変わりましたか?
私も自分ががんになるとは全然思っていなかったので、20代、30代で進路とか老後とかを考えるときにも、自分がその時まで生きるものということは前提中の前提にしていました。それが必ずしも磐石の基盤でないってことに気がついて初めてわかったんですけれど。
お仕事に対する考え方にも変化はありましたか?
一つは、ずっと20代、30代と同じ物差しで仕事していてはだめなんだなっていうことですね。誰もが老いに向かって体力が衰えていく中で気がつくであろうことを、たまたま少し早めに気がついたのかもしれません。その一方で、たまたま現役世代で病気になって、仕事ってお金を得るだけではなくて、本当に私にとってはかけがえのないことだったんだなということにも気づきました。もちろん、本当だったら昨日の続きをやりたいのに今日は通院しなきゃいけないとか、いっぺん中断すると次の日には倍の時間がかかるとか、忙しさや体力との兼ね合いでものすごくジレンマはあります。でもそのジレンマもひっくるめて、仕事への関心の向き方とか、仕事への集中とか、その集中がもたらす充実とかがなかったら、がんになってからのこの5年間ってずいぶん違っただろうなぁと思いました。
病気をきっかけに量を減らすとか、内容を選ぶとか、そういう変化もありましたか?
量を変えましたね。以前は隙間なくどんどんスケジュール表に予定を入れていったんですが、それを例えば、7日か10日にいっぺんぐらい「」(予備日)っていうのを作って、体の事情や通院が増えてできなかった時にここで調整するようになりました。あと、「できません」って言うようにもなりましたね。人に迷惑をかけないっていうのは、できませんって言わないことじゃなくて、できますって言ってできなかったことなんだなってわかったんです。入院を1ヶ月近くしたので、さすがに前倒しできなかった仕事はお断りしたんですね。その時に、迷惑をかけることでいたたまれない思いはしたけれども、それでも新聞も雑誌も白いところが出ずに発行されていく。
世の中はちゃんと動いている、というような。
はい(笑)。何にも支障はないんだなと思いました。私がここでこうしなくてはいけないみたいなものは自分の思い込みであり、責任感が強いと言えば聞こえはいいけれども、もしかしたらとんでもない勘違い、驕りだったのかもしれないなというのはすごく感じたんですね。
不安にはならなかったですか?例えば、仕事がなくなってしまうんじゃないかとか。
あっ、それはすごくありました。特に、もうすぐがんを公にします、と仕事先に申し上げた頃は、結果的に収入でいうと半分になった年があって・・・。でももうこうなったのはしょうがないなって思いました(笑)。隠し通すわけにもいかないので、行けるところまで行ってみよう、みたいな。
女性には出産もありますし、どうしても仕事を休まざるを得ない時に、不安になったり、実際に人から責められてしまったり、自分自身でプレッシャーをかけてしまうことがあると思うんです。
そうですね。やっぱり私も不安はあったし、実際になくした仕事もあるし、え、それだけの人間関係だったんだ?みたいなこともあるにはあったんですね。でも失うものもあれば、やっぱり得られるものもあるんですよね。それまでに得ていたものを掴み続けていることが失わないことではない、というような気がしたんですね。手放さなきゃならないものは手放して、でもその後でまた得られるものもあるかもしれないので。しかもそういう状況って、多分もう、その人は選べない状況だろうと思うんですよね。その時は勇気を出して手放すしかないんだなっていう気はします。でもそこで、やっぱり何らかの発信を続けていこうとは思いました。私もがんであることを公にしたばかりの時は、もうすぐ死ぬ人みたいな感じの記事も出ていたんですよ。
本で読みました。コンビニで「生きてる・・・」って店員さんに驚かれたとか(笑)
自分をめぐる記事のまとめ方も、これってなんかもうすぐ死ぬ人みたいじゃない?(笑)って思うものもありましたし。私はそれほど気負いはないんですけれども、やっぱり「がん=終わり」っていう感じにはなりたくないと思いました。発信し始めた頃はまだ再発の危険もかなりあった時期なので、本当に終わりになってしまうかわからないとしても、そこそこの責任も引き受けて仕事をして、社会生活もしているし、そういうありのままの姿は積極的に見せていきたいなと思ったんですね。がんになったから生き死にのことだけを考えていて、それだけを発信していく人、という風にはならないように、その後、仕事の分量とかバランスには、ちょっと気を遣いました。
本を読ませていただいて、病気の話なのにすごく元気をもらったように思います。
たぶん今までは、例えば元気な時のことでも、がんの人がバーゲンに行くような話はあまり書かれませんでしたよね。シリアスな方が訴求性のあるイメージになるから、書かれなかったのかもしれないけれども。極端な話、「残念ながら転移が見つかりました、余命も限られます」って明日の診察で言われるかもしれなくても、今日のバーゲンには行くみたいな、そういうことを包み隠さず書きたいなって。そういうエッセイがあると、例えば介護のことや夫婦関係のことで悩みを抱えながらも気晴らしにバーゲンに行った女性が、「ここに来ている人はみんなお気楽そうで恵まれていて、私だけが不幸せな気持ちを抱えているんだわ」なんて思わずに、「きっとここにも色々な人が来ているんだろうな」って思えるかなぁと思ったんですよね。
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