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様々な分野で生き生きと活躍されている女性たち。各分野のプロである彼女たちの目から見た、健康、ライフスタイル、キャリアについて、広報の女性スタッフがお話を伺うインタビューシリーズです。 >> インタビュー一覧
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Interview vol.3 エッセイスト 岸本 葉子さん (前編)
岸本葉子(きしもと・ようこ)
エッセイスト。東京大学卒業後、会社勤務を経て、1986年中国北京外国語学院に留学。『女の底力、捨てたもんじゃない』(講談社文庫)、『四十でがんになってから』(講談社)、『マンション買って部屋づくり』『がんから始まる』(文春文庫)、『幸せまでもう一歩』『楽で元気な人になる』『あれもこれもで12か月』(中公文庫)、『岸本葉子の暮らしとごはん』(昭文社)、『40代からはつらつと生きるために』(角川学芸出版、11月下旬刊)など著書多数。最近面白かった本は、『宗教と科学の接点』(河合隼雄著、岩波書店)。著書など活動の詳細は、ファンの方による「岸本葉子ファンサイト」(http://www.kishimoto-fan.com/)をご参照ください。
岸本 葉子氏
20代の「ここではないどこか」から30代の「ありのままの自分へ」
20代、30代、そして今40代と、素敵に年を重ねていらっしゃる岸本さんですが、年代ごと、ステージごとで変わってきたことはありますか。
20代と30代は、とても違いました。20代はいつも、このままでいいのかしら?みたいな気持ちがあって、“ここではないどこか”みたいなのが、すごく気になっていたんですね。このままずっとこの会社にいていいんだろうかとか、そろそろ周囲が結婚していくのに自分はまだ結婚してもいないし・・・っていうような、仕事の面でも私生活でも答えが出ていないっていうことに、すごく焦燥感があったんです。30歳っていう年齢を意識していないって自分では思っているけれども、誕生日が近づくにつれてだんだん、答えを出さないまま30代に入っていいのか?っていう気持ちがすごく募っていきましたね。なので、周りの人の生き方も気になっていたし、知らず知らずのうちに比べているようなところがあったと思います。あの人はもうあの会社に勤めてこれだけの成果を出したって聞くけど、それに引き換え自分は、って。
30代までは、そういう焦りがあったということですか。
30歳を実際に越すまでは、その焦りがどんどん募っていましたね。だから20代半ばでも、勤めていた会社を辞めて目的もなく留学をしてみたり、帰ってまた本当にパートタイマーから始めたりとか、色々試行錯誤しています。
留学というステップを取られたというのは何か理由があったんですか。
「ここではないどこか」っていう思いを形にするっていうだけだったんですね。そこで学んで何かキャリアアップにつなげようといった、明確な目標とか見通しはなくて、ただここにいてはいけない、っていうような思いから出たっていう感じです。
30代から40代への移り変わりはいかがでしたか?
20代から30代はとても違ったので、30代から40代っていうのは、あまり大きくなかったんですよ。30代になると、「今ここ」っていうことをすごく大事にするようになったんですね。それまではいつも、「今日この日は、どこかに行くまでの仮の時間」みたいに思っていましたから。でも、その24時間も24時間であることには変わらなくて、人生80年なら80年のうちの、80分の1の、1年間の内の365分の1っていう、その価値は変わらないということに気がついて、「どこか」とか「いつか」ばっかり気になって、今を全然大事にしていないということがすごくもったいないって思うようになったんですね。それと同時に、他の人のこともあまり気にならなくなりました。
あ、そうなんですか。
例えば、結婚して私生活に答えが出たと思っていた人が、30代に入ると離婚したりとか、仕事ですごく成果を出してた人が突然誰もが羨むような職業を辞めて、全く違う活動をしていたりすると、20代の1回の選択で人生の方向が決まるっていうのは幻想だったんだなってわかったんです(笑)。みんな30代になろうがいくつになろうが、ずっと試行錯誤を続けていくものなんだって。そこで20代の焦りが全部消えて、30代は自然体の等身大の自分と気負いなく付き合えるようになりました。
エッセイの中で、人と比べないということが信条、と書いていらしたので、強い意志で「人と比べないんだ」と決めて、ずっとやっていらっしゃったのかなと思っていたんですけれども、むしろ自然にそうなったという感じだったんですね。
元々そんなに人のことが気にならない性質だったんだとは思います。ただ20代は、学生時代まで同じように生きてた人が色々な道に分かれていくので、すごくこっちに目がいきあっちに目がいきだったのが、30代になって元の自分の性質に戻ったのかなっていう気がします。
なるほど。自分の気持ちと周りとをよく見て客観的に考えることができれば、少し変わった見方ができるのかもしれないですね。
そうですね。でも色々気になって、焦ったりするのも20代ならではのことだから、そうなってはいけないと思わなくてもいいんじゃないかという気がします。いろいろ揺れながらも、でも私これはしたくないなとか、やっぱりこっちに行ってみたい、とか必ず残るはずだと思うんですよね。例えば、結婚したいからっていっても、誰かにこういう人がいるのでって紹介されたからじゃぁ結婚しますってことにはなりませんよね(笑)。そういうことって、自ずと決まってくるような気がしますね。
結婚って20代、30代ではすごくわかりやすい例ですよね。
私はあまりに仕事の方で「これでいける」っていう確証がなかったので、せめて結婚の方でひとつ基礎固めしたいな、みたいな気持ちがあったんですね。でも「誰かいい人いないかしら?」みたいなことを言っていたら、年嵩の人に、「いい人はいます、紹介もできます、でもその年頃の男性は嫌な女性でなければもう決めようっていう気持ちで来ています、あなたにその決意はありますか?」って聞かれて「ぐっさー」と胸を刺されました(笑)。私は、自分の色々な不安とか焦りを、誰かいい人いないかしらとか、結婚をしようかしらみたいな言葉に全部込めてしまっていたんだな・・・っていう。それは、実は私の気持ちの正確な表現じゃなくて、色々な逃げとか混乱を、あのワンフレーズに全部投げ込んでしまってたんだ、っていうのが、30代でわかりました。
それは、今から振り返って思われることなんですね。
はい。あとやっぱり30歳の誕生日を越してみて、何にも答えが見つからないまま越してきてしまったけれども、別に自分の背中に30歳って書いてあるわけではないし、初めて同世代っていうことで目に入ってきた35歳とか36歳の人達も、みんな20代の私と同じように焦ったり悩んだりしてるんだなと思ったら、これでいいのかと思い続けていくのが生きていくことなんだわ、と思えたんですね。
 
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