HIV(エイズウイルス)とともに生きる女性たちによるエッセイ集。
「Happy together」 / 奈央子
大切な人たちと笑い合っていきて毎日を過ごしたい。これが私の夢。
もう少し若いころは、何かが欲しいとか、何かになりたいとか、何かがしたいとか、どこかに行きたいとか、自分中心で何かを願っていたけど、今は周りのみんなも私もハッピーで「今日もいい日だったね」と言って一日を終わりたいと思う。
例えば、家族は私の最も大切な人たち。だけど、いつも一緒にいるのが当然のことになっていて、意識しないとそのありがたさを忘れてしまいがち。一緒にいる穏やかな時間が永遠に続くような気がするけど、実はそうじゃないのだということを、夫が亡くなったときと、数年前におばあちゃんが亡くなったときに痛感した。だから、毎日、両親には素直に感謝のことばを口にして、それを態度にも表わそうと思うし、娘にも「あなたのことが大切で、いつも応援している」という気持ちを言葉や行動で伝えていきたい。
会社の同僚も同じく。もちろん、気の合わない人もいるけれど、楽しく働けるのはとてもありがたいし、チームで仕事をしている人たちの役に立ちたいと思う。それまではすごく大変でも、一緒にやり遂げたなあと思う瞬間はすごく爽快だし。
そして友人たち。いつも近くにいる友達も遠くにいる友人たちも、私にとっては元気の源。そのなかには、アジア太平洋地域の、そして世界中のHIV陽性者の友達ももちろん入っている。彼ら彼女らとも「いい一日だったね」といって毎日を過ごしたい。そのためにはそれぞれが人生を精いっぱい生きられることが大切で、そのためには個人的な悩みを解決することももちろんだけど、もっと大きな問題に取り組んでいかなければならないこともある。
例えば、治療へのアクセス。私は抗HIV薬が手に入る前と後を自分の身を持って経験しているので、「元気に生きててなんぼ」ということをつくづく感じる。今、私たちは日本に日本人として生まれているからその恩恵にあずかっているけど、そうでない友人たちがたくさんいる。生きる権利の侵害だとかいう前に、私にとってはこれからも大切な友達と一緒に生きていけるかどうかという、とても身近な問題。だから、問題が大きすぎるからとあきらめたり、自分の無力を嘆いたりしないで、できることをみんなと一緒にやっていきたい。
みんなでハッピーに毎日を過ごしたい。とってもシンプルな夢のように見えるけど、実はけっこう難しい。だけど、あきらめないでやっていけば、少しずつ笑顔は増えるんじゃないかな。
これを読んでくれたみなさんも、私たちのことを「友達」だと思ってくれたなら、一緒にハッピーに生きるために、それぞれがHIVに関してできることをやってくれたらうれしいです。
k
このサイトについて
|
個人情報保護ポリシー
Copyright © 2007 Sunstar Inc. All rights reserved.