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HIV(エイズウイルス)とともに生きる女性たちによるエッセイ集。
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エッセイ
 
「全ては私の思い込み」 / 綾
実家に帰省した際、父にはすぐに感染について打ち明けました。精神的にもタフだし、きちんと受け止めてくれるという信頼があったからです。父は予想通り、「よく言ってくれたな」と言って、ほとんど取り乱すことなく話を聞いてくれました。ただ口止めをしていたにも関わらず、そのことを母に言ってしまったのは予想外。母は「なんでお前が」と泣いてばかりで、半年ばかりは食も細くなり幾分痩せたようです。しかし、「母は強し」の言葉通り、やがて立ち直って猛烈に民間療法を勉強し始め、自分の信じるものは半ば強制し(尿療法にはかなり辟易)、体型もみるみる元に戻りました(痩せていた時のほうが健康体型でしたが…)。つくづく親というのはすごいなと思います。夫婦は離婚するかもしれないし、兄弟・友人は自分の家族を持ったらそちらを優先するでしょう。親子の絆というのは切れないし、何があっても心から信頼できる特別な関係だと思います。

次に、友人についてです。私は感染を知ってからはかなりネガティブになっていましたから、周囲に壁をつくり表面的には楽しげでもどこか冷めていて、友人に対しても一歩距離を置いていました。しかし、ある時「命が短いならば、余計に友達との時間を大切にしなくてはいけないんじゃないか」と気づき、それから何人かの友人に感染について打ち明けました。すると、みんな温かい反応で、励ましてくれたり、手紙をくれたり、病気についていろいろと調べて子づくりの相談にのってくれたりしました。私はたかだかHIVに感染したくらいで、自分自身や人生を否定し、全てを排除してしまおうとしていた愚か者でした。「木を見て森を見ず」、自らがつくり出した極小の世界に自分を閉じ込めてしまうところでした。彼女達が、過去・現在・未来、全ての自分を肯定し、前に歩みだす勇気をくれました。本当に感謝しています。
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