HIV(エイズウイルス)とともに生きる女性たちによるエッセイ集。
「母になることを選べない場合もある 」 / マリア
ずいぶん前に、私は一度身ごもったことがある。それは、自分があと2年しか生きられないと思っていた、はるか昔の話だ。私は死を確信していた。4ヵ月間、私のお腹の中に赤ちゃんがいた。どうすべきか迷い、いろいろな意見や情報の間で揺れた。どうしたらいいかわからなかった。恋人は、私にまかせると言った。そして、孤独にさいなまれた。本当にさびしかった。ひとりぼっちで、決断をするのは私だけだった。思い切って医師に相談してみたら、彼女の返事は「子供を産むべきではない。お子さんは亡くなってしまうでしょう。あなたが、あるいは最悪の場合ふたりとも命を落とすことになるかもしれません」。つまり、何の利点もないのだと。私は産まない決心をした。
そしてある日、病院に行った。時間はかからなかったが、処置の後、私は大声で泣き続け、その声は私の苦しみとともに病院の廊下に響き渡った。
あの時の子が生きていれば16歳になる。そして16年が経っても、心から溢れ出る涙が頬を伝うのを止められずにいる。いまだに心が痛む。これから先も、この痛みは消えずに残るだろう。私の魂の傷跡として。
あらゆる可能性が理解されている現在でもなお、昔の意識が根強く残っている−母になることは禁物なのだと。
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