HIV(エイズウイルス)とともに生きる女性たちによるエッセイ集。
「パートナー!」 / 奈央子
「パートナーが欲しい!」はここ数年、私の口癖かも。
10数年前にHIV陽性だとわかり、大好きなパートナーが亡くなったときは、もう絶対に人を好きになることはないし、人に愛されることもないだろうと思っていた。でも、人間ってそうじゃないんだなあ。「自分の性格を考えずにそんなこと考えてたなんてアホやな」「悲劇のヒロインになれるようなキャラちゃうやん」とは友人たちのことば。おっしゃる通り!私は惚れっぽい性格だし、精神的にも身体的にもたくましくて、どう考えてもヒロインには程遠い。
HIV陽性だと言うと引かれるかなあと思ったこともあるけど、どうもそうでもないらしく、それも含めて好きだと言ってくれる人もいたりする。HIV陽性ということとはまったく関係ない部分でダメになったりもする。自分がHIV陽性だということをひけめに感じているからあと一歩が踏み出せないと思っていたけど、それよりも娘がいることとか、30代という年齢とか、そもそも自分の性格とかそういう部分の方が大きいのかもしれないと最近思う。娘をはじめ家族と、自分で言うのも恥ずかしいけど、すごく愛のある生活をしている私。愛は限りがないというけど、娘への愛情と、娘からもらう愛情で私の心はいっぱい。あと、誰かと一緒に暮らそうとか、この人と新たに人生を歩んでいこうと思うこと自体、とっても勢いとエネルギーのいることで、その勢いやエネルギーってたぶん、30代の今はなかなか出てこない。
ただ、やっぱり、仕事から帰ってきたあとに、鍋でもつつきながらお酒を飲んでゆったり話す相手がいたらいいなあと思う。「だんなとなんてもう話すことなんかないで」「あとかたずけしてくれる相手なんかそうそう見つかれへんよ」…夢を壊すな、友よ!
だけどというか、だからこそ、とにかく宣言だけはしておきたい。「パートナーが欲しい!」呪文のように唱えていたら、きっといつかは!
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