HIV(エイズウイルス)とともに生きる女性たちによるエッセイ集。
「H(ヒト)・愛・V」 / 里衣子
わたしの人生が劇的に変わってしまったのは、HIVと出会った時だ。そのころ、まだ十代だったわたしには、あまりにも重過ぎる現実だった。「“お先真っ暗“とは、この事を言うんだ・・・」とつくづく実感した。
あれから15年近くが経とうとしているが、今のわたしを取り巻く環境は、あの頃とは比べ物にならないくらい“良く”なっている。世間も変わったし、自分自身も変わっていった。自分の将来を意識して、夢や目標を持って生きていく事がこんなに楽しい事だと、今頃になって実感している。
ここに来るまでに、わたしはどれ程の人たちに助けられてきただろうか?一人じゃどうする事もできなかった事も、多くの人たちの支えで今まで乗り越えられた。卑屈になって、人と関わる事を避けていた時期もあったが、今では人が愛おしいし、出会うことが楽しくて仕方がない。
そして、今まで出会ってきた人たちは本当に素晴らしい人たちばかりだ。特に女性のHIV陽性者同士のネットワークは、わたしにとって、とても貴重な存在だ。食べて飲みながらのおしゃべりは、とってもリラックスできる。夫や彼の話、仕事でのストレスの話、最近始めた趣味の事、おいしいお店がどこにあるか、時にはヘビーな話も。病気の辛さを経験して、人の痛みのわかる優しくて美しい友人たちは、わたしの自慢だ。
わたしはHIVを通して、人間愛を感じている。今まで受けてきたサポートを今度はわたしが多くの人たちに返していきたい。
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