ブランド戦略や商品デザインなどデザインを通したコミュニケーションをテーマに各担当が語る
G・U・Mブランドにふさわしいデザインの追究ですね。これまでG・U・Mは、商品全体としてのブランド意識が薄く、個々のアイテムごとに開発・デザインが進められてきました。そのためにブランドとしての統一感に欠けていたのです。前回のモデルを見ていただくと分かると思いますが、デザインがいい、悪いと言う前にG・U・Mのデザインとしてふさわしいかどうかという問題があります。こうした背景を受け、今回は戦略デザイン室がブランドガイドラインを策定し、それに則ってデザインを進めました。
ブランドのガイドラインにそって形にするのは非常に難しかったですね。G・U・Mのもつ「先進性」や「知性」のイメージは、言葉で言うと簡単ですが、それを表す色や形は人によってさまざま。実際に形にして確かめていくしかありません。ですから、今回はいくつものスケッチや試作をつくって、徹底的に戦略デザイン室と打ち合わせをしました。東京の戦略デザイン室との打ち合わせのために、大阪の高槻本社から試作品を抱えて行き、どういう意図でデザインしたかを伝えました。
そして、完成したのがこの形。形状は、やわらかさの中に硬さ・強さ(面の張り)をもたせ、カラーはブランドイメージを損なわず「上品、洗練、大人っぽい」といったイメージを加味できるスモーキーカラーを採用しています。
光沢のあるものとないもの、平面と凹凸のあるものというようにプラスチックとラバーの異素材を組み合わせることで、先進性を表現しました。この組み合わせを商品のデザインを印象づけるポイントにしたかったので、色やラインに最後までこだわりました。
デザイン優先でいくと、スイッチが押しにくくなる。機能優先でいくと、全体のバランスが悪くなる。そんな問題が一つひとつの機能に対して出てきて、機能性とデザイン性の両立には苦労しました。
それは、ハンドル正面にある凹みですね。ハンドルは内部構造から考えると、乾電池の入る下半分が太く、スイッチのついた上部が細い極端な形になってしまいます。しかしデザイン的には、ラインは下からのゆるやかなカーブを生かしてネックにつなげたい。
そうすると、必然的にスイッチ部にもある程度の太さが必要になり、無駄に太いハンドルになってしまいます。そこで、スイッチの部分だけを削ることにしたんです。そうすることで、ラインを生かしたまま、スイッチ部の細さも維持。さらに、目で確かめなくても触感だけでスイッチのある場所を感じとれ、自然とスイッチを押せるようになりました。デザイン的にも一面的にならず、シャープなイメージも付加しています。私の中では、この商品で一番のひらめきでしたね。
私は、意味のあるデザインにこだわっています。そういう意味で、必要な機能をもとにデザインできた今回の商品は、自分にとってやりがいのある仕事でした。毎日使うものだから、使いやすくて美しいものがいい。私がめざしたデザインが実現できたことが、今回の受賞につながったのかな、と考えています。
商品を完成させるまでには、多くの人と協力しながら作っていきますが、デザインを詰めていくのは、たった一人の作業。それが受賞をきっかけに多くの人に見てもらえて素直に喜んでいます。社内でも「商品が生まれ変わったね。」と言ってもらえたときは、本当にうれしかったですね。さらに、この商品がGマークによって売り上げが伸び、シェアが伸びてくれれば言うことがありませんね。
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