今年も世界最新のカリオロジー研究が発表された「ORCA(欧州カリオロジー学会)グラスゴー2006」。飯島洋一先生が、最新トピックスの中から、臨床現場に役立つ情報をリポートしてくださいます。
[出張報告] ORCA2006:臨床現場の最新カリオロジー
〜「欧州カリオロジー学会2006」より〜
広い視野で活動している学会なのですね。そんなORCAのテーマ「カリオロジー」ですが、今、最もホットなテーマというのは何なのでしょうか?
今のカリオロジー研究に共通しているテーマというのは、「初期う蝕はリバーシブル(可逆的)なものだ」という理解ですよね。このことが、脱灰と再石灰化に及ぼすフッ素研究が関わってきているのはもちろん、いかに回復可能な初期う蝕の段階で診断できるか、それは実際の臨床現場でどのくらい効果があるのか、といったことにも関わってきています。また、疫学的には初期う蝕の発現率にも関連しています。従来、フッ化物は歯の状態に関わらず応用すればいいと考えられていたのですが、再石灰化を促進するために、ある程度脱灰した歯に対してこそ積極的にフッ化物を応用するという捉え方に変わってきているんです。
色々な研究につながっていくテーマなんですね。
FDI(世界歯科連盟)が2000年に提唱した「MI Dentistry(=Minimal Intervention Denstistry, 最小限の侵襲)」という概念も、カリオロジーの進展によって生まれてきたものですね。これには5つの分野があって、1.再石灰化療法、2.菌の数を減らす、3.歯を削るときには必要最小限にとどめる、4.修復より修理(リペア)、5.再発防止の予防的コントロール、となっています。これまでの歯学は、G.V.ブラックの「予防拡大」といって、歯を削るときに健康な部分も含めて全ての病巣を削ろうとしてきました。それが、「MI Dentistry」の登場で、削るなら必要最小限にする、という風に変化してきた。脱灰・再石灰化のメカニズムが判明してきて、そこに及ぼすフッ化物の役割が明らかになってくることで、「MI Dentistry」の治療法の第一として再石灰化療法ということが言われるようになってきました。もともと研究レベルでは早くからわかっていたけれど、臨床レベルでも応用できる時代になってきた。ここにカリオロジーの今日的なテーマがあると思いますね。
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