Q:歯周病はどうやって進んでいくのですか?
A:
歯周病は歯周病細菌と言われる細菌の感染によって起こります。ひとの口の中には300-500種類の細菌が生息しています。口の中が清潔でなくなると、歯肉溝にそれらが塊となって棲みつくようになります。それを称してプラーク(細菌の塊)と言います。このうち、歯周病細菌群は酸素を嫌う性質を持っているため、自分たちの居心地の良い場所を作ろうと内毒素や組織を壊す酵素類を産生しながら酸素分圧の低い組織の奥へ奥へと入っていきます。
一方、生体は歯周局所でプラーク細菌群を排除するための防御を行います。この防御の主な担い手が免疫反応です。まず、白血球(特に好中球)が第一線で防御に働きます。その戦いを終えた白血球の死骸が膿となって排出されます。それでも防御が間に合わない場合には、身体側はマクロファージとリンパ球の免疫細胞を応援に出します。これらの細胞が反応の際に産出する物質は、本来は身体を護るためにあるのですが、過剰にありすぎると歯周病の病状をかえって悪化させます。その主たる物質は炎症性サイトカインとよばれ、IL-1(インターロイキン1)、TNF-α(腫瘍壊死因子α)、IL-6(インターロイキン6)などがそれに相当します。これらは血中を介して糖尿病、心臓血管病、低体重児出産・早産、呼吸器疾患、骨粗しょう症などの誘発にも関わるので、最近とくに注目されています。
歯周病のステップは次のようにまとめることができます。
歯周病初期
1)歯肉の境目は食物が溜まり易い構造をしているので、そこには細菌が繁殖します。
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2)局所の抗体や白血球がそれらに対抗するので、歯肉は炎症症状を呈します(歯肉炎)。
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3)炎症が増すにつれ、同部は酸素が乏しくなり、嫌気性菌群がはびこります。これらの歯周病細菌は内毒素をはじめとするいろいろな有害物質を産生するので、歯と歯肉を接合する上皮細胞が壊れます。
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歯周炎早期
4)歯と歯肉を接合する上皮細胞が壊れた段階から組織内のマクロファージ、リンパ球、繊線維芽細胞などが防御に加担し始めます(歯周炎)。
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5)マクロファージ、リンパ球、繊線維芽細胞などの細胞はサイトカインや蛋白分解活性をもった酵素などを産生し、歯周の繊線維や歯を支える骨を破壊する働きをします。
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歯周病病変確立期
6)歯肉が腫れ、血や膿が出やすく、歯が動くようになります。この時に産生される過剰なサイトカイン類や酵素など蛋白性活性物質は、毛細血管を通して全身に運ばれるので、全身の疾患に悪影響を及ぼします。
*サイトカインとは?:糖がつながった蛋白質で、主として細胞同士のコミュニケーションを行うための情報伝達成分です。身体のなかで免疫生体防御、炎症アレルギーに直接ないしは間接的に関与しています。

イラスト提供 : 岡山大学
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