Q:歯周病は肺炎や気管支炎にも影響しているのですか?
A:
肺や気管は嚥下、咳、呼吸など身体が生理的に反応することによって護られています。しかし、高齢になると、これらの生理的機能が衰えるため、自らの唾液や消化管内容物を常時慢性的に吸引したり、誤嚥したりすることが多くなります。これは、咳嗽(がいそう)反射や組織の防御反応そのものが衰えているので、口腔細菌感染を受け易くなるためです。



高齢者に限らず、脳卒中の既往のある人は肺炎で死亡する率が高いことに着目し、その関係を調べた研究(東北大・内科、佐々木)があります。
脳梗塞を起こしやすい部位の大脳基底核に傷害があると、この部位から産生されるドーパミンが少なくなります。その結果、迷走神経から咽頭や器官に放出されるサブスタンスPと呼ばれる物質が減少します。そのため嚥下反射と咳嗽(がいそう)反射が弱くなり、口腔内の細菌を誤嚥することとなり、肺炎を起こします。歯周病細菌は肺炎の原因となるものが多いので、高齢、痴呆、被介護、脳血管障害、手術後など身体の防御機能が低下した状態では、細菌を含む唾液などを誤嚥することで肺炎にかかる率が高くなります。

なお、カプサイシンを含む薬剤を服用するとか、唐辛子を食事に摂ったりすることは反射機能を回復する効果があります。

*誤嚥とは?:口腔内や胃の内容物を不本意に気道や肺に吸引することを言います。

*咳嗽(がいそう)反射とは?:気道の異物や分泌物は普通、線毛運動によって除去されます。それでも除去できない異物は生理的防御反応として咳をすることによって排除されます。この生理的反射のことを言います。

*迷走神経とは?:頸・胸・腹部内臓の器官に分布する混合神経で、喉頭部、気管、肺を正常に機能させるように働く神経です。
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