Q:妊娠しているのですが、歯周病は出産に影響しますか?
A:
長い間、低体重児出産や早産は、女性の尿路あるいは性器への細菌感染が大きな原因であると考えられてきました。また、喫煙やアルコールの摂取などは低体重児出産や早産のリスクファクターであるとも言われてきました。
産科領域では、低体重児出産や早産への対策が色々と取られてきたのですが、過去20年来、これらの問題の起こる割合は減少しませんでした。このような結果から、最近では、出産には、直接の関係がないと思われていた歯周病のような遠隔の組織の細菌感染症が注目されるようになってきました。
低体重児出産や早産と歯周病は疫学では関係があること分かっていますが、どうして、歯周病が出産に影響をおよぼすかのメカニズムは、まだ、はっきりとはしていません。これまでの動物を用いた研究結果などからは、歯周組織が慢性炎症状態にある時につくられる生理活性物質(特にプロスタグランジンE2)が、血流を介して作用し、膣炎の時に起こるのと同じように子宮収縮と子宮頚部の拡張を引き起こすことで、早産となるものと考えられています。したがって、妊娠中に歯周病にかかった歯周組織から出てくる生理活性物質は出産に負の影響を及ぼしているものと考える必要があります。これらのことから、母親が歯周病にかかっていると低体重児出産や早産を起こすリスクが高くなるのです。


また、妊娠中は体内各所に女性ホルモンが多く分泌されており、歯肉溝にも女性ホルモンが多くなります。ある種の歯周病菌はこれらの女性ホルモンを分解して、自らの栄養源であるビタミンKを作る性質を持っていますので、妊娠した女性は歯周病になりやすく、また、進行が早くなります。このため、妊娠中は、とりわけ口の中を清潔に保つよう特に気をつける必要があります。
イラスト提供 : 岡山大学
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